水分補給は工夫が必要。“15分間隔”、“真夜中”、“ゴックン”
高齢者が注意すべきことに脱水症対策があります。健康長寿生活を送るための本当に大きなテーマですね。わが家では、ゴルフをするときは毎ホール強制的に飲み物を摂ってもらいますし、私が一緒でないときはキャディさんにお願いしておきます。ですからラウンド中や直後の脱水症状はまずありません。
むしろ注意が必要なのは家にいるときです。家ではホールアウトのような、明確なタイミングがありません。テレビや雑誌に夢中になっていると、2時間ぐらいはすぐに経ってしまいます。とくに午前中。朝食を摂ってから昼食までの時間経過が特別早く感じられ、そのぶんラウンド中に比べると水分摂取量が少なくなりがちなのです。冬場など空気は乾燥しているのに、ゆっくりと自宅にいるときほど、十分な水分が摂取できず、脱水状態になる危険度が高いのです。
そこで家でも、ゴルフのラウンドを意識するようにしました。1ホールぶんの時間、2ホールぶんの時間、目安は15分間隔くらいのイメージで給水を心がけています。
夏場の日中は、自然と水分補給を行いやすいものですが、問題は夜間。暑さ対策でエアコンをフル活用すれば、そのぶん室内は乾燥しやすくなります。昼間多くの紫外線を浴びることで体が疲れてもいます。体が疲れていますから、いつもより早く眠気が訪れがちです。
疲労回復という点からは早めの就寝は悪いことではないのですが、エアコンが活躍し空気が乾燥した室内で眠ると、より水分が奪われるため、のども鼻も乾燥してカラカラになりやすいのです。
エアコンをつけなければ発汗が多くなり脱水症状になりやすい。高齢になるほど体内の水分量が減りますから、よけいに脱水状態になりやすく、のどの渇きを感じてからの水分補給では間に合わないこともあります。
なので、私はケンゾーさんが早寝をした日には「真夜中の給水」を実行しています。具体的には、夜中の12時ごとに睡眠中のケンゾーさんを起こし、水かスポーツドリンクを飲んでもらい水分補給をします。
気持ちよく眠っているケンゾーさんを無理やり起こしての強制給水。かなり厳しい習慣ですが、翌朝、脱水症状で倒れることに比べたら、一瞬の睡魔の我慢のほうがまだましなのです。
ラウンド中の水の飲み方も大事です。ケンゾーさんは、水分を摂るときにお茶のように「ズルズル」とすする癖があります。これでは十分な量が飲めません。すすり飲みは食道ではなく気管への誤嚥(ごえん)も引き起こしかねません。水分を摂るときは、口にたっぷりと含んで「ゴックン」と飲むことを心がけてもらっています。
「エージシュート記録1472回(更新中)植杉家の暮らしかた」(ゴルフダイジェスト社)より。語り手:植杉千枝子氏 ※一部改変