棒立ちアドレスで腕とクラブを一直線にキープ
岩井ジョニ男(以下ジョニ男):私、ゴルフを始めてからもう8年になるんですけれど、アプローチで転がしを使ったことが一度もないので、ぜひ教えてもらいたいんです。それも、ちょっと長めの50ヤードの転がしをやりたいんです。
小澤美奈瀬(以下小澤):いいですね。やってみましょう。
ジョニ男:転がして寄せるときってどんなクラブを使うことが多いんですか?
小澤:私は、58度のウェッジのロフトを立てて転がしをすることが多いですね。ほかにも52度や9番や7番、5番アイアンも転がしに使います。ユーティリティ(以下UT)を転がしで使うこともありますよ。
ジョニ男:へぇ~、UTも使うんですね。ではまず転がしの基本を教えてください!
小澤:転がしのアプローチで大切なのはヘッドを走らせないことです。ヘッドが走ってターンをするとボールは左に飛んで行くし、距離感も合わなくなるので、これは避けないといけません。
ジョニ男:短い距離のピッチ&ランのときは、アドレスでできた右手首の角度をキープして振ることで、ヘッドの走りが抑えられるということでしたよね。転がしでも同じですか?
小澤:今回のような長い距離の転がしの場合はちょっと違っていて、棒立ち気味に構えて、腕とクラブが一直線になるようなイメージで構えます。アイアンやUTで転がしをやるときは、この棒立ちのアドレスがしっくり来ると思います。
ジョニ男:スウィングするときはどこに気を付ければいいですか?
小澤:アドレスで作った腕とクラブの「一直線」をキープして振ることです。ヘッドの走りを抑えます。そして、フォローでヘッドがターゲットを刺していくように出していくと方向性も良くなります。
ジョニ男:あぁ、たしかに棒立ちで腕を一直線にして振ると、抑え気味な打ち方になりますね。グリップはいつもと変えたほうがいいですか?
小澤:普通のショットのときと同じでいいです。棒立ち気味に構えるということは、普段の前傾姿勢よりもちょっとだけ体が起き上がっている状態。グリップは自然とハンドアップ気味になり、「飛ばないな」っていう構えになるわけです。じゃあまずは8番アイアンで実際に打ってみましょう。
ジョニ男:おお、転がしでちゃんと寄っていきます! でも少しショート気味ですね。
小澤:でしたら、8番アイアンから6番アイアンに替えて同じ振り幅で打ってみましょうか。
――6番アイアンになると出球が低くなり、より転がし感が増してきて、方向性も距離感も正確性を増す。
ジョニ男:棒立ちに構えるので、クラブが長くなるほどイイ感じで打てますね。
小澤:じゃあ、もっと長いUTでやってみましょうか。
ジョニ男:はい、5番UTでやってみます。――先生、UTだと気持ちが楽に打てますね!
小澤:UTはアイアンよりもソールが広いので多少ダフッても滑ってくれます。だからザックリのミスの心配が少ないんですよ。
ジョニ男:“ウルトラソール”ですね。アプローチでザックリの心配がないというのは、ほんと気が楽です! 今日試した8番アイアン、6番アイアン、5番UTのなかでは、50ヤードの距離ではUTが一番簡単に打てました。というのも、振り幅が小さくてもUTは長くてロフトも少ないから飛ばない構えでもしっかり距離が出てくれるわけですよ。
小澤:長い距離だけじゃなく、グリーン周りでもダフリの心配が少ないから使えますよね。
ジョニ男:今までは50ヤードのアプローチはすべてウェッジでやっていたんですけど、UTの転がしのほうが圧倒的にプレッシャーは少ないです。コッチのほうがいいかもしれないですね。
小澤:実際のラウンドでもやってみてくださいね。
ジョニ男:はい! ありがとうございました!
TEXT&PHOTO/古屋雅章 撮影協力/スイング碑文谷