DJとのプレーオフ。20メートルのパットを前に「勝つなら最後は劇的な方がいい」(ラーム)
最終日にノーボギーの6アンダー64をマークしたラームは通算4アンダーまでスコアを伸ばしひと足先にホールアウトした。難しい終盤のホールを残して松山を2打、ジョンソンを1打リードしており、そのままいけばすんなりラームの勝利が決まりそうな展開だった。
ところが最終18番、500ヤード超の難関パー4でジョンソンが2打目をピン奥13メートルにつけると、下りのスネークラインを読みきってど真ん中からバーディパットを沈め決着はプレーオフにもつれ込んだ。
普段ポーカーフェースのジョンソンもさすがに派手なガッツポーズで喜びを表現するほどの超スーパーパット。「自分でも信じられないくらいいいパットだった」というが、プレーオフではラームがその上を行く20メートルの超ミラクルパットを決め返した。
「DJが10メートルにつけていて自分のボールがカップまで20メートル。不利な状況だったけれどなんだかすごく楽しめていた。勝つなら最後は劇的なほうがいい。そんなことをちらっと考えながら打ったら……入った! 正直1、2メートル以内に寄せれば上出来だと思ってたけど」(ラーム)
じつは大会3日目の5番ホールでラームは信じられないミスを犯している。グリーン上に乗せたボールをマークせずに拾ってしまったのだ。
「ポケットに入れておいたマーカーを置いた気になっていた。でもそうじゃないことがすぐわかってキャディと目を合わせて背筋が凍りつきました(苦笑)」。結果1ペナが科され最終日は首位に並ぶ松山&DJと3打差の6位タイからのスタート。だがあれよあれよとバーディを積み重ねメモリアルに続く今季2勝目を手繰り寄せた。
「結果論だけどあのペナルティがあったから勝てたのかもしれません。あれが起爆剤になった。自分に腹を立ててもっと集中しなきゃダメだと喝を入れた。で、思ったんです。たとえストレスが溜まっても居心地が悪いような場面がきても楽しもう、って」。そして最後に20メートルのバーディを決めるという最高の楽しみが待っていた。
これで世界ランクはDJを抜いて再び1位へ。ポイントランクもDJに次ぐ2位で最終戦に進出し目指すは昨年の欧州ツアーで手にした勲章に続く米ツアーでの年間王者の座。それには1500万ドル(16億円強)のご褒美(ボーナス)がついてくる。