今週開幕するPGAツアー最終戦「ツアー選手権」をポイントランクトップという有利な位置からスタートするダスティン・ジョンソン。豪打と安定性をもたらす無二のスウィングをプロゴルファー・中村修が解説する。

フェースを閉じて使う分、体の回転量は多い

プレーオフシリーズ初戦「ザ・ノーザントラスト」で優勝し、2戦目「BMW選手権」でもプレーオフの末2位と、好調のダスティン・ジョンソン(以下DJ)。

193センチ86キロと恵まれた体形から繰り出される豪快なドライバーはもうお馴染みですが、難コースのオリンピアフィールズCCでも平均飛距離331.9ヤード、パーオン率68.06%と安定したショット力を誇りました。

画像: 現在フェデックスカップランク1位で、プレーオフ最終戦に10アンダーのアベレージを持って挑むダスティン・ジョンソン(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

現在フェデックスカップランク1位で、プレーオフ最終戦に10アンダーのアベレージを持って挑むダスティン・ジョンソン(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

今シーズンのDJは2勝(PGAツアー通算22勝)を挙げトップ10フィニッシュも6回とフェデックスランク1位にふさわしい活躍をしています。そのスウィングを見ていきましょう。

DJといえば、テークバックでフェースを開かないシャットフェース。画像A右を見ると、いかにフェースを開いていないかがわかると思います。

また、手元を遠くに上げるのも特徴です。グリップエンドと体の距離も遠く、始動の際に一度目標方向に手元を動かすフォワードプレスの動作を入れたら手首の角度を変えずに高いトップに向けて一気にバックスウィングします。

画像: 画像A:フォワードプレスから手首の角度をキープし体から遠くへワイドにテークバックする(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 写真/姉崎正)

画像A:フォワードプレスから手首の角度をキープし体から遠くへワイドにテークバックする(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 写真/姉崎正)

トップからの切り返しでは、左手首は手のひら側に折れるようにフェースを閉じながら、頭の位置も低くなり、しゃがみ込むように前傾を深くし地面方向に踏み込みます。そこから地面を蹴飛ばしながら足を使って回転力を得て、腰も上半身も目一杯回転させています。

画像B右を見ると、インパクトではおへそがターゲットを向くくらい回っていることが見て取れます。手先の動きが少ないので、方向性を確保しつつ体の回転量やスピードで自在に距離の打ち分けをしています。

画像: 画像B:切り返しでは頭の位置を下げ前傾を深くして地面を踏み込み、下半身を使って回転力を得る。左手首を甲側に折ってフェースを閉じながら下ろし、体を回転させてスクェアにインパクトする(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 写真/姉崎正)

画像B:切り返しでは頭の位置を下げ前傾を深くして地面を踏み込み、下半身を使って回転力を得る。左手首を甲側に折ってフェースを閉じながら下ろし、体を回転させてスクェアにインパクトする(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 写真/姉崎正)

これだけ体を回転させてもフェースがスクェアに当たるのは左手首を甲側に折って、フェースを閉じた状態を作っているから。左手首を甲側に折ってフェースを閉じて使うことと、体の回転量を増やすことはセットになっているので、DJのようにシャットフェースに振るタイプは体をしっかりと回転させて打ちますし、フェースを開閉させながら打つタイプであればインパクトで体を開かないように打ちます。

どちらが正解ということはなく、人によって違います。体の可動域やグリップの握り方など自分が再現性高く振りやすいスウィングタイプを見極めることで参考にするスウィングは変わってくるでしょう。

ハンディ制で行われる最終戦、10アンダーのボーナスを持った状態でスタートするDJは、無事年間王者の座と約16億円の賞金をゲットできるでしょうか。そして後に控える全米オープンとマスターズでどんなプレーを見せてくれるのか、非常に楽しみです。

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