10.5度のロフトを少し寝かせて使ってる
全米オープンを制したブライソン・デシャンボーのドライバーのロフトは5.5度だが、世界ランク1位のダスティン・ジョンソンは、実にデシャンボーの“2倍”のロフトを使っている。彼の相棒はテーラーメイドの「SIM」ドライバーだが、その表示ロフトは10.5度。通常、DJはそれを11度に調整して使っているというのだ。
DJはツアーを代表するフェードヒッターで、スウィング中にフェースを開かずに使うタイプ。アドレスからインパクトまで、フェースを閉じたまま使うため、ある程度のロフトがないと、スピン量が減りすぎてしまうというのがその理由のようだ。
アマチュアゴルファーの心理的には、なんとなく9度とか9.5度といった10度未満のロフトを使うのが“カッコいい”という意識があったりするが、世界ランク1位で平均300ヤード以上飛ばす男が「11度」を使うと聞くと、なんだかそんな考えが馬鹿馬鹿しく思えてくるから不思議だ。
また、フェースを閉じて使うDJは、フェースの向きもとくにオープンにはしていない。プロといえば左へのミスを嫌ってオープンフェースのドライバーを好む……ケースが多くあるが、DJの場合はそのような例には当てはまらない。
PGAツアーの部門別データには「ボールスピード」という項目があるのだが、2020年のデータを見るとDJの平均ボールスピードは約79.9メートル/秒で、平均ヘッドスピードは約53.4メートル/秒(最高は約56.0メートル/秒)という猛烈なものだが、使用しているシャフトはフジクラのベンタスの「6X」で、その重さは65グラムだ。Xシャフトだからハードはハードだが、重さ的にはそこまで激重というわけでもない(ベンタスには70グラム台の設定もある)。
試合ごとにネックの調整機能や可変式ウェートを自らいじり、微調整して戦いに臨むというDJ。ハードヒッターは低ロフト、腕っ節があるならシャフトは重め、という風に考えがちだが、そういう風に決めつけるのは必ずしも正しくないことを、彼のドライバーのスペックは教えてくれるようだ。