アタックアングルに注目してみよう
中村修(以下中村):インドア練習場などでは設置されていることも多い弾道計測器。これがあると自分のスウィングとその結果がデータとして示されますから、非常に便利ですよね。
小澤美奈瀬(以下小澤):プロにとってもアマチュアの方にとっても、自分のデータを数値化できるのは上達するうえで非常に助けになりますよね。

弾道計測器を使いつつドライバーを練習する際に注意すべきポイントを、美女プロ小澤美奈瀬が解説
中村:ではアマチュアの方がドライバーの練習で弾道計測器を活用するとしたら、どの数値に注目するといいんでしょう?
小澤:チェックしてほしいのは、インパクト前後でのヘッドの挙動を示すデータです(写真A)。これはドライバーでもアイアンでも同様ですが、アタックアングル(入射角)、フェースアングル(インパクト時のフェース向き)、クラブパス(ターゲットラインに対するヘッドの軌道)に注目して見てください。

写真A:小澤のドライバーショットを計測した際のヘッド挙動データ
中村:写真Aは小澤プロのドライバーショットを計測したものですが、アタックアングルは4.0度としっかりとアッパー軌道で打ち出せていますし、2230rpmと低スピン。インサイドからヘッドがボールを捉えていることがわかります。一方、僕がアマチュアゴルファーの方によく見られるスウィングを再現し、そのときのヘッド挙動を計測したデータが写真Bです。

写真B:中村がアマチュアゴルファーにありがちなスウィングを再現した際のヘッド挙動のデータ
小澤:クラブパスを見るとややアウトサイドイン軌道で、フェースは6.1度右側に開いています。スライス気味の弾道になりそうですね。それに加え、アタックアングルは0.0度とレベルブロー気味です。
中村:写真Bではアタックアングル0.0度でしたが、場合によってはマイナス、つまりダウンブローにインパクトしてしまっている方も見かけます。
小澤:クラブパスやフェースアングルは打ちたい弾道やスウィングにもよるので一概には言えないのですが、アタックアングルに関しては弾道の高さや飛距離にも直結する大事な要素ですね。でも、アタックアングルはアドレスに工夫することで改善できますよ。まず、ボール位置ですが、左足かかと線上からつま先の間くらいに置いてみましょう。
中村:たしかにアッパー軌道でボールを捉えるためには、スウィング中にヘッドが描く弧の最下点からフェースが上を向き始める辺りでインパクトするのが良いですから、レベル、もしくはダウンブローにインパクトしてしまっている方はボール位置が適切でない可能性はありますね。

写真左のようにボール位置が真ん中よりだとアッパー軌道でインパクトしづらい。写真右のようにボール位置は左足のかかと線上からつま先の間に来るように置き、かつ背骨を飛球線後方に傾けてみよう
小澤:さらにアドレス時の段階で背骨を飛球線後方に傾けるようにして構えることで、よりアッパー軌道で打ちやすくなりますよ。スウィング中は、フォロースルーでクラブを高く上げて、ハイフィニッシュを取るイメージで振っていきます。
中村:ダウンスウィングでは何も工夫をしない、というのもポイントですよね。
小澤:ダウンスウィング中にアッパー軌道を作る動きをすると、重心が体の右サイドに残ってしまいます。すると振り遅れ、フェースは開いてしまい……と余計に変な弾道になってしまうので、あくまでアッパー軌道はボール位置と構え方、つまりアドレスの段階で作っておくのが正解です。アッパー軌道で打てていないという方は試してみてください!
取材協力/太平洋クラブ八千代コース