池田勇太は“難コースほど燃える男”
再開初戦のフジサンケイクラシックで優勝した星野陸也。その大会で星野とプレーオフを戦った堀川未来夢。日本ツアーでは世界ランク最上位の今平周吾。全米オープンで予選を突破した石川遼ら注目の選手は多い。しかし今回個人的に本命に推したいのは池田勇太だ。
「コロナで腑抜けになってしまった」と口ではいっているが、心のなかには期すものがあるはず。不屈の闘志がなければ11年連続でツアー21勝も挙げることはできない。
池田が本命であることの理由はいくつかある。「状況が難しくなればなるほど、相手が強ければ強いほどモチベーションが上がる」のが彼の特徴。舞台の紫カントリーすみれコースはタフな名コースとして知られているが、今回は特に通常ならパー5の503ヤードの4番と496ヤードの12番がパー4となり全長7317ヤード、パー70のセッティングになる。
距離の長さに加え林でセパレートされたフェアウェイは狙いどころが絞られる。深いバンカーや池にガードされたグリーンは難攻不落。しかしそんな難コースは「ピンポイントで攻めていけるコースが好き」な池田にとってやり甲斐十分。なにしろ8000ヤードを超えるモンスター、ザ・ロイヤルGCでコースレコードをマークし19年に優勝を飾っているのだから。
「8000ヤード? 聞いただけで燃えた。最終日はティが前になっていてがっかりした」という池田は帯同キャディによると「勇太さんが試合で乗ってくるとどこまで飛ぶかわからない」。難しい日本オープンでもアドレナリンが出まくるはずだから上位争いは必至なのだ。
そしてもう1つ池田を奮い立たせているのが永久シードという目標。25勝まであと4勝と迫っており「それをなるべく早くクリアしたい」という思いが強い。目下11年連続優勝をマークしているから今年は12年連続Vの記録がかかる。
「2020年はコロナの影響で2021年とあわせて1シーズンになりましたけど、どうせなら20年にも1勝しておきたい」と今年中の優勝にこだわっている。
しかし実は「21勝なんて全然すごいことだと思っていない」とか。それは彼がゴルフを始めた頃から憧れてきたジャンボ尾崎の存在があるから。
「ジャンボさんしか見てないからこれくらいじゃ全然。偉いなんてまったく思わない。あんなすごい人これから出てくるとは思えないけど、最初からあそこを見ている(目指している)からちょっとやそっとじゃ満足できないんです」(池田)
ゴルフは蓋を開けてみなければわからない。だが国内最高峰のメジャーでは困難であるほど燃える男・池田勇太のプロ魂をきっと見せつけてくれるに違いない。