11月のマスターズが開幕した。ディフェンディングチャンピオンのタイガーに注目が集まるなか、
スロースターターの彼にしては上々の滑り出しに連覇の期待が高まっている。出場23回目にして初、っていったいなにが?

じつはタイガーがマスターズの初日ノーボギーでプレーしたのははじめてのこと。4バーディ68をマークし首位を行くポール・ケイシーに3打差の暫定4位タイにつけるとPGAツアーの公式ツイッターが素早く反応。

「マスターズのキャリアベストオープニングラウンド」
「マスターズで初のノーボギーのファーストラウンド」
「直近のメジャー106試合の初日で初のノーボギーラウンド」

そう記しタイガーに100点満点を与えた。

本人も「すべてうまくいった。ドライバーも良かったしアイアンも切れていた。唯一のミスは8番。残り68ヤードを60度のサンドウェッジで打って寄せるつもりが思っていたのとは違う場所に乗せてしまった。それ以外はすべて良かった。もちろんもう少しパットが決まっていれば、という思いはある。いつもとは違ってグリーンが重かった。(降雨による)中断(2時間57分)もあったしね」

画像: マスターズ初日、4アンダーと連覇に向けて好スタートを切ったタイガー・ウッズ(写真/2020 Masters Tournament)

マスターズ初日、4アンダーと連覇に向けて好スタートを切ったタイガー・ウッズ(写真/2020 Masters Tournament)

さまざまな要素がタイガーに味方した。11月のオーガスタはダウンを着なければならないほど寒いという話もあったが、この日は半袖でプレーできるほどの小春日和。寒さが苦手な彼には朗報。またスタート時にはコースのメンバーであるNFLのスーパースター、ペイトン・マニングが姿を見せチャリティイベントで一緒にプレーし普段から親交のあるタイガーの応援に回った。

昨年の奇跡の復活優勝は追いかける立場からの逆転V。「それまで14回メジャーに勝っていたけれど、いつも首位からスタートして逃げ切ってきた。去年はトップのモリナリを追いかける立場だったから勝手が違って本当に必死だった。終盤まで誰が勝ってもおかしくない接戦。そんななか17番のティショットが勝因になった。思い描いた通りの1打を打てて勝てると確信できた」(タイガー)

まだ大会ははじまったばかり。100点満点の初日からどうやって皆が期待するフィニッシュに持ち込むのか? 楽しみが止まらない。だが悲願のメジャー初Vを目指す松山英樹もタイガーと同じノーボ
ギーの68でメジャー覇者(アダム・スコット、パトリック・リード、ジャスティン・トーマスなどなど)と並び暫定4位タイの好発進。彼にも十分チャンスはある。

余談だが初日もっとも緊張しもっとも幸せを感じていたのはタイガーと同組で回ったシェーン・ローリーだったかもしれない。全英オープンチャンピオンでキャリアもそこそこ長いがタイガーと一緒に回るのは初めて。

じつは彼、タイガーに「子供のときからずっと憧れていた」そうだが、そのことを本人には伝えられず、いつかチャンスがあれば一緒にプレーしたいと思い続けてきた。念願叶った初日はタイガーとは逆にノーバーディ、2ボギーで暫定74位タイに沈んだが、彼にとっては決して忘れられない記念すべき1日になったことだろう。

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