「左足かかと方向に地面を蹴る」が正解
インパクトの瞬間にパワーを集約し、どれだけ力を使いきれるか。ボクが提唱する“HRスウィング”のもっとも重要なポイントといえます。
人間は頭で考えたことに体が反応して動くまでの時間が約0.2秒かかると言われています。そのタイムラグがあるため、インパクトの瞬間に力を出そうと思っても間に合わないんです。スイングの始動からインパクトまでにかかる時間は1.0~1.5秒ぐらいですから、切り返しの瞬間にはインパクトを意識する必要があります。具体的にいうと、切り返しで左足のつま先方向、左の前の下方向に体重を落とした(踏み込んだ)瞬間にパワーが最大になるぐらいのイメージで、ジャストインパクトというイメージです。
では、その切り返しの瞬間にどんな動作をすれば、インパクトにマックスのパワーを集約することができるか。切り返しで体重を落とした左前下(左足つま先方向)とは真逆の方向、右の後ろの上(左足かかと方向)に向かって、左足で地面を強く蹴り込んでいくんです。
アドレスでは左足のつま先をオープンに構えているので、左足かかと方向に地面を蹴ると体が少し右に戻りながら、左腰が後ろに下がって回転し、左足が伸びて上方向に切り上がっていきます。この動作によって生まれる地面からの反力によって、インパクトでクラブのスピードを上げることができるのです。切り返しからダウンスウィングで目標方向(左方向)に動こうとしているクラブに対して、体が少し右方向に戻ることで左右の引っ張り合いが起きます。
同様に、クラブは後ろから前、そして上から下にも動こうとしていますから、左足で右後ろ上方向に地面を蹴ることで、前後と上下にも引っ張り合いが起こるんです。この左右、前後、上下という3方向で引っ張り合う“カウンター動作”によって、余計な力を使わなくても効率よくヘッドを加速させることができるのです。
多くのアマチュアは手や腕の力に頼って、ヘッドを返してスピードを上げようとしがちですが、これでは逆効果にしかなりません。手や腕でヘッドを返すには体の動きを止める必要があります。ヘッドを返す動作が入った瞬間に体の回転にブレーキがかかり、結果的にヘッドスピードは減速してしまうのです。
自分では一生懸命に力を入れて振っている感覚があるのに思ったほどボールは飛んでくれない。そういう人はムダに力を使って、わざわざヘッドを減速させて振っているんです。切り返しで左前下に体重を落としたら、間髪入れずにそれとは逆の右後ろ上に向かって左足で地面を蹴り込み、その反力による3方向の引っ張り合いで腕とクラブを加速させる。
スイングのスピードは人それぞれなので、インパクトでパワーを使いきれる、自分にとってジャストなタイミングを練習でつかんでください。