先週開催されたPGAツアー「ウェイストマネジメントフェニックスオープン」では人数規制をかけた上で観客を会場に入れ、プロアマも開催されていた。そのプロアマでギャラリーを大いに沸かせたのがバッバ・ワトソン。16番167ヤードパー3で、ドライバーを使って見事なワンオンを決めたのだ。

バッバ・ワトソンがスゴ技を披露したのは、フェニックスオープンのプロアマ。巨大なスタジアムで囲まれた名物ホール、167ヤードパー3の16番だ。

ワトソンはショートホールにも関わらず、なんとティショットにドライバーを選択。ちなみにワトソンの今シーズン平均飛距離は307.5ヤード。当然ながらフルショットで適正な距離を打てる番手ではない。

画像: バッバ・ワトソンがフェニックスオープンのプロアマで見せたドライバーのコントロールショットに、上達のヒントが!?(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

バッバ・ワトソンがフェニックスオープンのプロアマで見せたドライバーのコントロールショットに、上達のヒントが!?(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

ワトソンはドライバーをロフトを寝かせ、ティアップされたボールに対しかなりオープンスタンス気味に構えると、手元が肩より上に上がらないくらいの振り幅で緩やかにスウィング。すると……花道を転がって見事グリーンオンに成功! しかもきっちりピンハイにボールを置く、まさに完璧な寄せ。それをドライバーで実現して見せたワトソンに、ギャラリーは大いに沸いた。

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映像で見るとサラッとこのトリッキーショットを成功させているように見えるのがまたスゴイところだが、いったいどうやって打ったのだろうか。プロゴルファー・中村修はこう解説する。

「ロフトを寝かせるとフェースが開くのでそのぶんオープンに構え、フェース面を花道先のピン方向に向けます。あとは距離感の調整ですが、これは振り幅とかメカニカルな手法ではなく、『このくらいの打ち出し角でこれくらいの初速で打ち出したら、花道を転がってピン近くに止まるだろう』という感覚で打った感じですね」(中村)

普段から刻んで打つこともあるであろうアイアンやウェッジなどの番手ならともかく、フルショットが基本のドライバーまで感覚で調整できてしまうとは……。もはや異次元の技術のように思えるのだが、中村によればこれも経験の積み重ねだという。

「プロや上級者は上達の過程でボールを曲げて遊ぶことを経験しています。そういった遊びを通して、ボールを曲げたり縦の距離を合わせることを理論ではなく肌感覚で理解できているんです」(中村)

そしてそうやって身につけた感覚が「ミスして曲げてしまったときにその原因を洗い出し修正する力や、ボールをコントロールして攻める術を身につけることにつながっている」のだと中村は言う。

もちろんワトソンほどの高精度なボールコントロール術は、それこそプロ並みの練習量も相まって身に付くものだろう。しかしながらアマチュアにとっても、練習場であえて弾道を曲げてみたり飛距離の調整を試してみるのは「ボールコントロールを磨く上で大いに効果あると思います」と中村。

「たとえば5番や6番アイアンを持って短く打つ練習をしておくと、林から脱出する際にフェアウェイを横断して反対側のラフや林に打ち込んでしまうなんてことが防げるようになりますよ」と、具体的なメリットもあるようだ。

当然一朝一夕で身につくものではないが、ただ真っすぐ遠くへ飛ばすだけでなく、弾道を操るのもゴルフの醍醐味。プロたちの“遊び”、試す価値アリ!?

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