ユージ:先日、ついにドラコン用のドライバーが完成したんです!
高島:お~っ。シャフトは、グランディスタの「ROCK YOU」ですか。48インチで……振った感じフレックスはS相当。真ん中が硬くて手元と先が柔らかいシャフトですね。軽いけどしっかりしていますね。
ユージ:たしか50グラムだったかな。ヘッドはまだ本決定ではなく仮ですが、テーラーメイド「M1」の2017年モデル、440ccのヘッドを合わせています。ソールにはT字のレールに沿ってウェートが2つ付いていますが、このうち後方のものは取り外し、フェース側のウェートはヒール側に寄せたカスタマイズにしました。
高島:なるほど。もう打ちましたか? ドラコン用ドライバー、どうでした?
ユージ:打ってみたら、ヘッドスピード(以下HS)が60m/s、ボール初速が80m/s。飛距離は最長で327ヤードという結果が出まして。
高島:お~! じゃあ今日はもう、私のレッスンは必要ないかな……。
ユージ:いやいや、お願いしますよ。ドラコン用のスウィングを教えてください!
高島:わかりました。じゃあまず、このクラブでちょっと打って見せてください。
ユージ:了解です!
――ウォームアップも兼ねて軽めに振った1球目はHS49m/sで246ヤード。2球目はHS52m/sで273ヤード。いずれもスライス弾道で飛距離は伸びきらず。3球目はHS55ⅿ/sと順調にHSを上げていくが、ミスヒットでわずか29ヤードに。
高島:とりあえず3球打っていただいて、いずれもあまり良い球ではありませんでしたね。
ユージ:うっ……。
高島:でもドラコンでは6球打てますから、これからナイスショットの確率を上げていきましょう。で、気になったのが3球中2球がスライス系の弾道でターゲット方向右側へが飛んでいたこと。これはアウトサイドインのカットスウィングで、フェースが開いてインパクトしているからです。48インチと長尺だと振り遅れも出やすいですし、もっと球をつかまえてストレート系の球筋にして飛距離ロスを防がないといけませんね。
ユージ:分かりました。じゃあアウトサイドインを直せばいいんですね。
高島:いえいえ。アウトサイドインはそのままで良いんです。これは正直言って、仕方がない部分があるので。
ユージ:え!? どういうことですか?
高島:ドラコンの打ち方って全力で体を使うので、ダウンスウィングで体は開いてしまうモノなんです。だからアウトサイドインの軌道になること自体は仕方ないんです。
ユージ:ラウンドを想定したスウィングだったら軌道を修正したりとかもしますけど、ドラコンの場合そこは割り切っちゃうんですね。
高島:でもインパクトで球をつかまえないと飛ばないので、インパクトでフェースは閉じた状態でボールに当てたいんです。じゃあ軌道はアウトサイドインのままフェースを閉じて当てるにはどうするか。アドレスをクローズスタンスにすれば良いんです。
ユージ:左足が体の前面で右足が体の後ろ側、両足を結んだラインがターゲット方向右側を向くような立ち方ですね。
高島:そうです。両足が揃ったスクェアスタンスでアウトサイドインに振るとインパクトゾーンでカット軌道になります。これをクローズスタンスにすることによって、アウトサイドインに振ってもインパクトゾーンでクラブはストレートの軌道になるわけです。
ユージ:つまり、スウィングは同じでもスライスが軽減されるってことですね。
高島:その通りです。単純ですが、体がどうしても開いてしまう以上これが効果的です。さらに、ハンドファーストに構えてアドレス時からフェースを閉じた状態を作り、バックスウィングでもフェースを閉じた状態を維持しながら上げていきましょう。あともう一点、……これはちょっと言いづらいのですが、私、今までユージさんに球を曲げないためにもっとアッパーに振りましょうって散々教えてきましたよね?
ユージ:はい。元々僕は上からヘッドをボールに打ちつけていたので、スピンが多くて球が吹け上がっていたから、師匠に言われてアッパーに振っていました。
高島:だから凄く心苦しいんですけど、正直、前のスウィングに戻したほうがドラコンでは飛ぶ可能性があるんですよ。
ユージ:えぇ!? 何でですか?
高島:ドラコン用のドライバーはロフトを立たせ、吹け球が出にくい仕様なので、むしろ上から打ち込んでいかないと、球が上がっていかないんですよ。
ユージ:分かりました、以前の打ち込むスウィングに戻せば良いんですね。
高島:いや、ドラコンのスウィングって、ただ打ち込んでいるわけではないんです。上半身は上から下に打ち込んで、下半身は下から上に伸び上がる動きをします。ココが大事なポイントになります。ドラコン選手ってインパクトで左足をバーンと蹴り上げて浮くんですよ。
ユージ:ああ、見たことあります。
高島:上半身が上から下に叩きつける動きに合わせて、下半身を下から上に蹴り上げることによって、インパクトでヘッドがビュンと走るわけですよね。この動きが身に付けば間違いなく飛びます。
ユージ:できるかな~。とりあえず、やってみます!
――さっそく高島の教えを実践。8球打つも、なかなか思うような結果は出ず。
ユージ:うわぁー、これがドラコンかぁ! 大丈夫ですかね、僕。なんかいろいろ崩壊してきたみたいなんですけど。
高島:大丈夫(笑)。ただ、バックスウィングで左手のコックが強めに入って、左手の親指側に手首が折れているんです。これを、ノーコックで左手を持ち上げるイメージでバックスウィングをしてみましょうか。そうすると、トップで左手首とシャフトが一直線になり、ダウンスウィングで良い軌道でクラブが下りてきますよ。
――高島の追加アドバイスが効いたのか、10球目でHS52m/s、飛距離305ヤードという結果が出る。
高島:おぉ~、良い球。まだヘッドスピードが戻っていないけれど300ヤード行きましたね。
ユージ:忘れないうちに、もう一回。……311ヤード。HS56ⅿ/s!
高島:おぉ、出ましたね。
ユージ:急にスイッチが入りましたよ。
高島:まだ慣れるのに時間が必要そうですが、コツはつかめましたね。
ユージ:はい。しかし、まだこの状態ではドラコン大会で優勝できないので、引き続き、早百合師匠、お願いします!
取材協力/PGMゴルフアカデミー銀座 撮影/野村知也