「ゴルフが上手くなるために必要なポイントが盛りだくさん」だとプロゴルファーの吉田一尊が語るのは、現在は怪我のリハビリに懸命なタイガー・ウッズのスウィング評。そんなタイガーのスウィングを吉田が二週に渡り徹底解説。二週目のテーマは「正面から見たスウィング」からアマチュアが学べること。

「手元が上がる力」と「腰が左に行く力」が同時に起こる

今回は、正面から見たタイガーのスウィングを解体していきましょう。

テークバックでは構えたときよりも、左手の甲の角度(背屈)がちょっと深くなっています。ということは、ヘッドから上げていくのではなく、体の回転に伴ってグリップエンドを先行させて引き上げていく動き。

画像: アドレスからテークバックにかけての動き。左手の背屈がやや深め(写真はファーマーズインシュランスオープン2020 撮影/姉崎正)

アドレスからテークバックにかけての動き。左手の背屈がやや深め(写真はファーマーズインシュランスオープン2020 撮影/姉崎正)

先端(ヘッド)を動かすのではなく、末端(グリップ側)を動かすことによって、結果的に先端(ヘッド)が引っ張られて動くんです。それによってクラブがスムーズに動いて、速度も上がりやすい。どうしても、体の回転より先に先端(ヘッド)を動かしてしまう人が多いですが、グリップエンドから動かしていくように注意しましょう。クラブの動きや流れがスゴく良くなりますよ。

トップのポジションで、ヘッドが“カクン”と下りてくる瞬間に下半身が左へ動き出します。ヘッドが下りる=手元が上がるということであり、そのタイミングで腰が左に行く。

画像: トップから切り返しにかけての動き。ヘッドが下りると同時に下半身が左に動き出す

トップから切り返しにかけての動き。ヘッドが下りると同時に下半身が左に動き出す

「手元が上がる力」と「腰が左に行く力」により“L字”のように引っ張り合う力が生まれるんです。そうすると、肩甲骨周りの広背筋という大きな筋肉が引き伸ばされる。引き伸ばされた筋肉は縮もうとする性質があり、そこでダウンスウィングが始まるので、自分で腕や手を下ろさなくても勝手に下りてくるようになります。手元が上がり切ってヘッドが落ちてくるときに腰が左に移動する。このタイミングはアマチュアの皆さんも真似できるのではないでしょうか。

そしてフォローでは、腕が勝手に返っている感じです。腕が返ることが悪いのではなくて、腕の力を使って腕を返すことが良くありません。腕の力を使わずに、体の動きによって腕が勝手に返ってくること。ましてや、当たる前に返してしまうのはNGです。

画像: トップからフォローまでの動き。ダウンスウィングでは体の動きに合わせて自然と腕が動いていく

トップからフォローまでの動き。ダウンスウィングでは体の動きに合わせて自然と腕が動いていく

ダウンスウィングで腕をボールに近づける(下ろす)動作をなるべくしないで、腕の位置をキープしたまま体が動いていく。そうすることで、腕が戻ってくるタイミングが遅れるんです。「腕の力を使わずに腕が動いていく」。これが理想的ですね。このことに関しては、すべてのゴルファーに真似してもらいたいポイント。「腕はあくまでも体によって動かされる。結果的に腕が動く」ということです。

腕や手の動力を体の動きで作れば、腕自体はまだ力を出していない状態で動力が余ることになります。それによって、手や指などの感覚的な部分が生きて「フェースコントロール」や「入射角の操作」など、いろんなテクニックが使えます。それが腕や手の力を使って速度を上げてしまうと、そこに備わっている繊細なテクニックが使えなくなる。だからこそ、腕や手の動力は使わずに体の動きで作ることが大事です。

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