解説:吉田一尊プロ
1977年生まれ、大阪府出身。“飛距離アップ請負人”の異名を持つプロでYouTubeのレッスン動画も人気。
2023年、全国展開するインドアゴルフスクール「ステップゴルフ」のエグゼクティブコーチに就任。コーチのコーチとして約200名のスタッフを指導している。
フェースを開く&閉じる意識は必要ない
飛ばしのレッスンに定評がある吉田一尊プロは、アマチュアのフェースターンは間違っていると指摘する。どこがダメなのか?
「フェースターン、つまりフェースの開閉は、スウィングにおいて必ず起きるものです。ただ、その認識がアマチュアとプロでは大きく異なります。まずはそこを理解することが必要です。
多くのアマチュアは、手を返す動きでフェースターンを行っています。確かにその動きでも開いたフェースを閉じることはできます。ですが、そのフェースターンでは、スクエアなインパクトに間に合わないんです。その結果、インパクトの手前でリリースするしかなくなるんです。いわゆるアーリーリリース(振り急ぎ)ですが、リリースされたヘッドはフェースが左を向きます。そのため、上体を起こしたり、左ひじを引いたりして、無理やりフェースをスクエアに合わせているのです。これがアマチュアのフェースターンであり、アウトサイドイン(カット)軌道になって、飛ばないスライスしか出ない原因なんです」(吉田プロ・以下同)
アマチュアのフェースターン
「手を返すフェースターンは、ヘッドの運動量が大きすぎてフェースがスクエアに戻りづらいです。その結果、アーリーリリース、上体の伸び上がり、カット軌道になるんです」
アマチュアはフェースを開いたり閉じたりと、かなり複雑な動きをしているというのだ。では、プロや上級者は、どうやってフェースターンをしているのか?
「もっとシンプルで簡単な方法があります。それが手を使ってグリップを回すことです。ドライバーを胸の前で構え、スクエアなフェースを作ったら、グリップを左に回してみてください。これだけでフェースは閉じます。直径数センチの丸い棒を回すだけですから、力もほとんど必要ありません。手を返そう、腕をローテーションさせようというレッスンは実際にあります。ですが、それらはフォローで左ひじが曲がるとか、上手く振り抜けないといった人に対するアドバイスなんです。ですから、矯正ドリルのようなものだと考えるべきなんです」
プロのフェースターン
「フェースを返すのは簡単です。手を使ってグリップを回せばいいんです。この感覚を持っているのがプロや上級者で、フェースを開かずスクエアにインパクトできれば、ボールも曲がりません」
ということは、手は返さないほうがいいということか?
「アマチュアはクラブを振った方向にボールが飛ぶ、と思っている人が多いんです。ですが、ボールが飛んでいく方向は、フェースの向きで決まります。ということは、フェースをいかにスクエアに保つかが最重要課題になります。そして現代のクラブはヘッドが大型化したことで重心位置が深くなり、より開きやすくなっているのです。つまりフェースの開閉は、できるだけ少ないほうがいいわけです。ですからフェースターンというより、フェース面を管理すると考えたほうがいいんです。
新飛球理論
インパクト時のフェースの向きにボールは打ち出される
「以前はクラブを振った方向にボールが飛ぶとされていました。ですが今は、インパクト時のフェースの向きにボールが打ち出されることがわかっています」
弾道を決める2つの要素:①フェースの向き、②スウィング軌道
「フェースの向きが打ち出し方向、スウィング軌道が球の曲り幅を決めます。今のクラブはより開きやすくなっているため、フェースを“開かせない”ことが重要なんです」
今の大型ヘッドはフェースが開きやすい。フェース管理こそが最重要課題!
フェースターンは必ず起きるものですが、とくにアマチュアはフェースが開きすぎる傾向が強いです。まずは手を使ってグリップを回してみてください。これだけでフェースはターンしますし、フェースの向きを簡単に制御できることがわかるはずです。そしてフェースは開かせない、そのカギになるのが左手の握り込みなんです」
今のクラブはドライバーからアイアンまで、すべてフェースが開きやすいという。だからこそ、フェースの管理が重要なのだ。
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フェースを開閉させない管理方法は、明日朝の記事で紹介予定!
PHOTO/Yasuo Masuda、Blue Sky Photos
THANKS/ステップゴルフプレミアム南青山
※2024年12月17日号週刊ゴルフダイジェスト「手を返すのではなくグリップを回せ!」より一部抜粋