ザ・プレーヤーズ選手権が開幕する前日の9日、会場のTPCソーグラスに隣接するPGAツアー本部で世界ゴルフ殿堂入りセレモニーが行われタイガー・ウッズが晴れてホール・オブ・フェーマーの仲間入りを果たした。セレモニーでは14歳になった長女サムさんがプレゼンターを務め父の知られざる素顔を紹介。愛娘の立派なスピーチにタイガーは思わず涙を見せた。

タイガーカラーの真っ赤なドレスで壇上に上がったサムさん。これまで弟のチャーリー君は親子大会での父顔負けのスウィングなどが話題になったがサムさんが公の場に登場したのははじめて。チャーミングな笑顔を浮かべながら彼女はこう語り出す。

画像: タイガー・ウッズ(左)の長女サムさん(右)が世界ゴルフ殿堂入りセレモニーに登壇し、数々のエピソードを語った(写真/Getty Images)

タイガー・ウッズ(左)の長女サムさん(右)が世界ゴルフ殿堂入りセレモニーに登壇し、数々のエピソードを語った(写真/Getty Images)

「07年の全米オープン。最終ホールで5メートルのパットを沈めればアンヘル・カブレラとのプレーオフに持ち込める場面で父はパットを外しました。その足で急いで向かった先は空港。ピッツバーグからオーランドに飛び病院に直行したのです。それは6月18日のこと。赤いゴルフウェアを着たままの父が病院に入って5分後、私がこの世に誕生しました。メジャーのタイトルは逃したけれど父は世界で最高の贈り物を授かったのです(笑)」

自身の誕生秘話を語ったサムさんは物心ついてから父がいかに子煩悩だったかに触れ、バイオリンコンサートに一緒に行っこと、バカンスで訪れたバハマでクラゲの大群に遭遇したこと、じつは父がスーパーヒーロー好きでコミック愛好者であることなど微笑ましいエピソードをちりばめたのだが、やがて偉大な父の存在に気づく日がきたという。

「たとえばサッカーコート(サムさんはサッカー選手)やゴルフの試合なので、父がいかに有名で世界一のゴルファーかを知るようになりました」。腰の手術を受け試合に出られない時間が長くなると姉弟は父に「(サッカーの)メッシのほうが凄い」と口を揃えるようになったが、心の底では偉大な父を尊敬していた。

「ちょうど一年前、父は病院のベッドに横たわり人生でもっとも過酷で最悪のときを過ごしました。それは家族にとっても辛い日々で、果たして父が両脚で歩けるようになるのかさえわかりませんでした。でも今日こうして自分の足で歩いて殿堂入りセレモニーに参加することができた。父はファイターです。私は会ったことがないけれど祖父アールの教え「Train hard, fight easy(ハードに鍛え本番は気楽に)」を実践し続けたからこそ、黒人とアジア人の血を引くゴルファーとして初めてメジャーに優勝し、度重なる腰の手術を乗り越えマスターズ5勝目を挙げる快挙を達成、生死を彷徨う事故からわずか数カ月で歩き始めたのです」

「お父さんは私の中ではずっと以前から父親の世界殿堂入りを果たしているけれど、今日ここで世界ゴルフ殿堂入りする父タイガー・ウッズを誇りに思います」

サムさんの紹介を受け壇上に上がった虎の目には涙。「スティーブ・ストリッカーとの賭けに負けました。彼は泣くに賭けて自分は絶対泣かないと思っていたのに……」と嬉しそうに語り会場は笑顔に包まれた。

08年、生後10カ月のサムさんが母親に抱かれアーノルド・パーマー招待に訪れていた日を昨日のことのように思い出す。父親譲りのつぶらな瞳の赤ちゃんがこんな立派な少女に成長したとは……。

タイガーの感動のスピーチはまたの機会にご紹介しよう。

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