PGAツアーのアジア圏マーケティングディレクター、コーリー・ヨシムラさんがチョイスした記事や選手たちのストーリーをご紹介。今回は、偉大なプロゴルファーのキャリアのピークについて。

偉大なプロゴルファーのキャリアのピーク、それはある一定の期間に集中するという興味深い考察があります。最たる例がアーノルド・パーマー。ゴルフを人気スポーツに押し上げたレジェンドはPGAツアー通算62勝を挙げ、7つのメジャータイトルを獲得しています。

60年代から70年代にかけ〝アーニーズアーミー〟と呼ばれる熱狂的なファンを引き連れコースを闊歩する姿はまさにスーパースターでした。

しかし、メジャーの優勝は1958年4月から1964年の4月までの6年間に集約されています。64年のマスターズで4度目のグリーンジャケットに袖を通したとき、彼はまだ34歳。その後、何度でもメジャー制覇するに違いないと誰もが思いました。

画像: 1966年、東京よみうりCCで開催されたカナダカップでは、ジャック・ニクラスとペアを組み、圧倒的な強さで優勝したアーノルド・パーマー。メジャーの7勝は1958年のマスターズから6年後のマスターズまで6年間に限られる

1966年、東京よみうりCCで開催されたカナダカップでは、ジャック・ニクラスとペアを組み、圧倒的な強さで優勝したアーノルド・パーマー。メジャーの7勝は1958年のマスターズから6年後のマスターズまで6年間に限られる

「パーマーは2度とメジャーに勝てない」と言おうものなら盛大なブーイングを浴びたはず。ところが7つ目のタイトルを最後にメジャーの勝ち星から遠ざかったのです。

ポストタイガーの旗手として10代からゴルフ界をけん引してきたローリー・マキロイのメジャー勝利の期間はパーマーと似ています。ツアー24勝を誇る彼のメジャー4勝は11年から14年の3年間に固まっており、14年の全米プロで勝って以来勝てていないのです。もちろん今後メジャーで勝てないという意味ではありません。ただメジャーを制覇した時期が数年に集中しているのは事実です。

2人のスターを引き合いにジェイソン・デイについて語るのは少し違和感があるかもしれません。ただ、デイのキャリアもある時期に好成績が集中しているという共通点があります。飛ぶ鳥を落とす勢いで世界ナンバー1に駆け上がったオーストラリア人を当時、松山英樹が「全然レベルが違う」と脱帽したほどです。瞬発力を発揮した時期はそれほど前のことではありません。

画像: ジェイソン・デイは、これまでの13勝のうち8勝が2015年~16年の2年間に集中。昨年5月、5年ぶりに復活優勝を飾った

ジェイソン・デイは、これまでの13勝のうち8勝が2015年~16年の2年間に集中。昨年5月、5年ぶりに復活優勝を飾った

デイの物語は魅力的です。ゴルフに浮き沈みはつきもの。彼の場合はケガ(腰痛)やめまいでスランプに陥り苦しい時期を経験しました。「正直もうゴルフをやめようと思った」と言ったほど。しかし、彼は再び輝きを取り戻し、昨年5月のAT&Tバイロン・ネルソンで復活優勝を果たしたのです。

次回は長いトンネルの先に光を見つけたデイについて深めていきましょう。

※週刊ゴルフダイジェスト2024年4月30日号より(ARRANGE/Mika Kawano、PHOTO/Blue Sky Photos)※PGAツアーはBSJapanext(BS放送)、ゴルフネットワーク(CS放送)、U-NEXT(動画配信サービス)で毎週LIVE中継が見られます

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