いよいよ開幕となる海外メジャー「マスターズ」。今大会の要注目の選手は誰? 現地で取材する週刊ゴルフダイジェストのツアー担当・ケンジロウが大胆予想!

こんにちはケンジロウです。ジョージア州のオーガスタよりお届けしております。いよいよ今日からマスターズが開幕します。

さて、マスターズと言えば、今シーズンの最初のメジャーになり、まさに前半戦の山場という試合になります。とくに世界ランキング上位の選手は、2月ごろからここに照準を合わせて調整をおこなってきました。

もうかれこれ1か月近くPGAツアーの現場で選手の調子のよし悪しを見てきました。その中で、誰が最終的にグリーンジャケットを着ることになるのか? 1か月の見聞をもとに、勝手に占ってみました。

オーガスタはドローヒッターが有利とか、ロングヒッターが有利とかいろんな話がありますが、マスターズの優勝をカギを握るいちばんのポイント、僕は「経験値」だと思っています。

同じコースで開催される唯一のメジャーで、飛距離こそ年々伸びているものの、18ホールのレイアウトが変わることはほぼありません。一般の方でも18ホールのすべてが頭に入っている人も多いのではないでしょうか。

伝統的なピンポジションもありますし、ある意味、毎年決まった72ホールで戦うわけです。18ホールの各1打の正解(もちろんピンポジを鑑みて)もある程度みんな想定できていて、つまり「相手との戦い」というよりは、毎年「コースの戦い」をしているわけです。

初めてオーガスタでプレーする中島啓太が、ラウンドした感想を聞かれて、「毎ショット毎ショット完璧なスウィングしなきゃいけないのでミスしたあとの切り替えが難しい」と言ったのもよくわかります。毎ショット正解があるのだけど、それをやり切れるかどうかが大事ということですよね。そして4日間対コースでやり切れた選手が最後にグリーンジャケットを羽織れるということです。

「経験値」というのを裏付けるデータもあって、初出場で優勝したのは過去に3人しかいません。最近ではジョーダン・スピース、そして昨年はウィル・ザラトリスも初出場で勝ちかけましたが、結局は勝ち切れませんでした。過去に85回も大会をやっていて、初出場初優勝はたった3人ですからね。やはりコースを知っていることが有利に働くのは間違いありません。

つまり、オーガスタの経験値があり、そして自分のスウィングをやり切れる、いま調子のいい選手が上に来ると思います。この条件にあてはめると、僕の中での勝手なパワーランキング(優勝予想)は以下のようになります。

1位 ジョン・ラーム
2位 ブルックス・ケプカ
3位 キャメロン・スミス
4位 エイブラハム・アンサー
5位 松山英樹

本命が、ジョン・ラームです。彼は今年セントリートーナメントで2位、ファーマーズインシュランスオープンで3位タイそして直近のデル・マッチプレーではベスト8に残りました。今季は優勝こそないものの、コンスタントに成績を残しています。

画像: 優勝予想1位はジョン・ラーム。過去5回マスターズに出場し、そのうち4回でトップ10入りする相性の良さと、その経験で貯まった経験値があり、調子も良い(写真は2022年のザ・プレーヤーズ選手権 撮影/KJR)

優勝予想1位はジョン・ラーム。過去5回マスターズに出場し、そのうち4回でトップ10入りする相性の良さと、その経験で貯まった経験値があり、調子も良い(写真は2022年のザ・プレーヤーズ選手権 撮影/KJR)

そして、オーガスタの相性も悪くない。過去5回出ていて、27位タイ、4位、9位タイ、7位タイ、5位タイときていて、5回の中で4回トップ10に入っていますからね。「経験値×好調」、この方程式がいちばん当てはまるんじゃないですかね。さらに世界ランキング1位の座をスコッティ・シェフラ―に奪われて非常に鼻息が荒くなっているはず。そうした発奮材料も彼にはうまく働くような気がします。

2番手はブルックス・ケプカ。フェニックスオープンは3位タイ、マッチプレーでは、ジョン・ラームを破ってベスト4に入りました。昨年末からクラブ契約を変え、クラブもボールもガラッと変えてから成績も上がってきました。状態が上向きのところでいいタイミングで迎えるマスターズ。2019年には2位タイに入る相性のよさも、好材料です。

画像: 2位に挙げたのはブルックス・ケプカ。好調子であるのに加え、オーガスタとの相性も良い(写真は2022年のセントリートーナメントオブチャンピオンズ 撮影/Blue Sky Photos)

2位に挙げたのはブルックス・ケプカ。好調子であるのに加え、オーガスタとの相性も良い(写真は2022年のセントリートーナメントオブチャンピオンズ 撮影/Blue Sky Photos)

続いて3番手はキャメロン・スミス。すでに今季2勝していて、しかもそのうちのひとつは、プレーヤーズ選手権で競り勝っていますからね。またWGCマッチプレーもスキップして、プレーヤーズから3週間近く休んで休養十分というのもいいですよね。

画像: 今季2勝と好調のキャメロン・スミス(写真は2022年のザ・プレーヤーズ選手権 撮影/KJR)

今季2勝と好調のキャメロン・スミス(写真は2022年のザ・プレーヤーズ選手権 撮影/KJR)

マスターズも今年で6回目の出場で、18年には5位タイ、20年には2位タイ、21年は10位タイと相性もいいんです。とにかくパットが上手いので、パターで上手くスコアを作ってくるのではないかと思います。必ず優勝争いに絡んでくるでしょう。

そしてもう一人、僕が気になっているのが、エイブラハム・アンサーです。マッチプレーで5位タイに入るなど、彼も現在好調。彼はロングヒッターではなく、巧みなショートゲームでスコアを作っていきます。イマジネーションが凄いんですよね。

画像: エイブラハム・アンサーのイマジネーションはマスターズでも有利になる!?(写真は2022年のザ・プレーヤーズ選手権 撮影/KJR)

エイブラハム・アンサーのイマジネーションはマスターズでも有利になる!?(写真は2022年のザ・プレーヤーズ選手権 撮影/KJR)

オーガスタのグリーンやグリーン周りはアンジュレーションが凄いので、どうやってピンに寄せるかの想像力が不可欠になります。同じピンを狙うにしても、狙うルートが強弱でいくつかあるようなところもあり、そういうイマジネーションをもった選手と言えるでしょう。

ちなみにPGAツアーのパワーランキングを見てみると……

1位 ブルックス・ケプカ
2位 ジャスティン・トーマス
3位 ジョン・ラーム
4位 キャメロン・スミス
5位 スコッティ・シェフラ―
6位 ダスティン・ジョンソン
7位 ザンダー・シャウフェレ
8位 ジョーダン・スピース
9位 マシュー・フィッツパトリック
10位 コリン・モリカワ

という順番になっています。やはり似たような選手が上位に来ていますね。

さて、松山英樹の連覇はなるのかが、みなさん気になるところだと思いますが、僕は怪我が再発しなければ、十分チャンスはあるのではと見ています。

画像: マスターズ連覇がかかる松山英樹(写真は2022年のアーノルド・パーマー招待 撮影/KJR)

マスターズ連覇がかかる松山英樹(写真は2022年のアーノルド・パーマー招待 撮影/KJR)

先週のバレロテキサスオープンのときより、だいぶ振れるようになって、火曜日、水曜日はもうしっかりフルスウィングができるようになっていました。もちろん経験値は十分ですし、オーガスタの攻略法も熟知していますから、その攻略法通りの球が打てるかどうかがポイントになるでしょう。

土曜日に寒くなるので、首の痛みが再発しないことを祈るばかりです。果たして86回目のマスターズはどんな大会になるのか、あなたは誰が勝つと思いますか?

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