マスターズの3日目はを終え、8アンダーの首位で出たスコッティ・シェフラーがスコアを1つ伸ばして9アンダーとし2位と3打差をもって最終日に挑む。プロゴルファー・中村修が現地で見たシェフラーのスウィングを解説。

朝から気温が低く、冷たい風が吹く3日目のコンディションに多くの選手が苦しみました。2位に5打差をつけて首位でスタートしたスコッティ・シェフラーは1番で左のラフからグリーン左に外しますが、これをパーで切り抜けると2,3番と連続バーディ、4番でボギーも6、8番でバーディを奪い前半に3つスコアを伸ばします。

画像: 3日目を2位に3打差の首位で終えメジャー初優勝をマスターズで狙うスコッティ・シェフラー

3日目を2位に3打差の首位で終えメジャー初優勝をマスターズで狙うスコッティ・シェフラー

3日目までのトータルでドライビングディスタンスは294.33ヤードで13位、フェアフェイキープ率81%、パーオン率70%とドライバーなどのロングゲームに加え、アイアンのミドルゲーム、アプローチやパットのショートゲームのバランスが高いプレーヤーで、2月の初優勝のフェニックスオープン、3月のアーノルドパーマー招待、デルマッチプレーと3試合を立て続けに制し、世界ランクから1位に躍り出たこともうなずけます。

3日目のプレーを間近で見て感じたのは、風に強い弾道で確実にフェアフェイをとらえていたこととアイアンの精度が高いことです。そのスウィングの特徴は、中継を見てもインパクトで右足を後ろに蹴るように使っている姿にお気づきだと思いますが、シェフラーは「フロントポスト」といって左に軸を取るタイプです。切り返しの早い段階で左腰が左足の上に移動し、一気に回転していることで飛距離と再現性を生み出していることがわかります(画像A)。

画像: (画像A )切り返しの早い段階で左へ移動し右足を後ろに引くように使うことで回転力を高めている

(画像A )切り返しの早い段階で左へ移動し右足を後ろに引くように使うことで回転力を高めている

もうひとつ、右足の蹴りですが後ろに蹴るように使うため、ダウンスウィングでひざが前に出ることなく前傾角が起き上がる動きが入りにくいことも利点になっています。前傾角をキープしながら左サイドがしっかりと回転しているので、ダウンで手元の通り道を邪魔しないことで再現性が高く正確なインパクトができるのです。さらにこの動きを取り入れると回転力をアップすることができます。

画像Bのアドレスとインパクトを比べてみてください。どれくらい左へ移動しているかがよくわかりますね。左足の上にひざと左腰がの直線上に並び、頭の位置は突っ込まずに下半身の動きがよくわかります。左軸の「フロントポスト」、真ん中の「センター」、右軸の「リアポスト」とスウィングのタイプは大きく分けて3つあるので、左軸タイプの人はぜひお手本にしてみてください。

画像: (画像B) アドレスとインパクトで腰が左足の上でしっかり回転していることがわかる

(画像B) アドレスとインパクトで腰が左足の上でしっかり回転していることがわかる

メジャー初優勝へ残り18ホールとなりましたが、オーガスタの女神はシェフラーに微笑んでくれるでしょうか。3打差の2位には3日目に4つ伸ばしたキャメロン・スミスが追ってきています。最終日のプレーを見守りたいと思います。

写真/Blue sky photos

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