パトロンが戻ったオーガスタの杜に大歓声がこだまする。
マキロイが18番で右のバンカーから26ヤードのショットを直接カップに沈めるチップインバーディでこの日8つ目のバーディを奪ったのだ。
しかも同組のコリン・モリカワも同じバンカーからチップイン。2人揃ってのバーディフィニッシュにパトロンは興奮状態。まるで地鳴りのような歓声が湧き起こった。
「ここで優勝争いするのは夢だからね。スコッティ(シェフラー)が素晴らしいプレーをしたから追いつくことはできなかったけれど(8バーディ、ノーボギーの64でホールアウトし)最高の気分。18
番の歓声は凄かった。あんなの今まで聞いたことがない」
とマキロイは晴れ晴れとした表情を見せた。
思えば11年前(2011年)のマスターズ。
マキロイはサンデーバック9に入る直前までトーナメントをリード
し、ポストタイガーの星のメジャー初勝利が現実のものになりつつあった。ところが10番でティショットを見たことがないほど大きく左に曲げて痛恨のトリプルボギー。そこから坂を転がり落ちるようにボギーを重ね15位タイに終わった。
屈辱のあの日からマキロイにとってマスターズでのリベンジがゴルフ人生最大の課題になったのだ。
ここで大敗を喫した2カ月後、全米オープンでメジャー初制覇し覚醒。すると14年までにメジャーを次々制して4勝を挙げキャリアグランドスラムに王手をかけた。そして史上6人目の快挙を達成するための最後の1ピースがマスターズでグリーンジャケットに袖を通すことだ。
結果的に今年もそのミッションは達成できなかった。しかしマキロイは「このコースでプレーした中で一番といっていいくらい幸せな時間だった。これ以上望むことはない。
オーガスタで自分史上最高のゴルフができたし2位はこれまでのベストフィニッシュ。来年も必ず戻ってきて挑戦し続ける」と力強く宣言した。
「コリン(モリカワ)と一緒に一日中とてもいいプレーができた。最後は2人揃ってチップインバーディ。我々はライバルだけれど毎週一緒に旅をする仲間。彼はナイスガイだし今日はペアリングに恵まれたと思う。相乗効果で2人とも良いプレーができたのは本当に幸せな気分」
昨年の松山もペアリングに恵まれた。予選ラウンドでは「一番回りやすい」といっていたハリス・
イングリッシュと同組で快調にスコアを伸ばし、週末は気心が知れたザンダー・シャウフェレと良い雰囲気でプレーし優勝を手に入れた。ペアリングは選手にとってある意味重要な要素になる。
若手の代表格だったマキロイも今年33歳。円熟味を増したゴルフで14年以来手にしていないメジャータイトルを今年は是非ものにしてもらいたい。