C・スミスとM・フィッツパトリック、2人に共通する特徴は「トップ(P4)で左ひじが適度に曲がっている点」だという北野インストラクター。
「通常トップで左ひじはできるだけ真っすぐに伸びていたほうが、腕からクラブヘッドまでのスウィングの半径が長く保たれて、メリットが大きいと言われますが、スミスの左ひじの角度(Lead Elbow Flexion)はトップで139度、フィッツパトリックは138度と両者とも左ひじは適度に曲がっており、腕が突っ張ることなく、じつに柔らかく振っていることがわかります」(北野)
以前スミスは自身のスウィングについて「松山英樹選手のように、トップで少し間を感じるのが好きだ」と解説していたことがあるという。
左腕が適度に曲がるトップの利点は『トップで無駄な力が入りにくい』『スウィングの間を作りやすい』、『シャフトのしなりを感じやすい』の3点。
「左ひじが適度に曲がると、無駄な力は入りにくくなるので、左ひじを伸ばしたままにしようとして、突っ張ってしまう人や、腕の力の抜き方がわからない人には、左ひじが少し曲がることで無駄な力が入りにくくなるので効果的です。
次にスウィングの「間」を作りやすい点ですが、左ひじが曲がる事でトップが深く入るので、普段トップが浅く悩んでいる人には、効果が期待できます。
そしてクラブのしなりを感じやすい点ですが、腕が柔らかく使えるとトップでシャフトのしなりを作りやすくなるので、先述の「間」がとりやすくなります。トップで間が取れるとシャフトがしなり、切り返しで「ラグ」が生まれてからインパクトにかけて目標方向への逆しなり(リード)というゴルフスウィングにおいて必要なクラブの動きが生まれます」(北野)
ただし誤解してはいけないのは、トップで意図的に曲げるわけではないので、オーバースウィングで左ひじが曲がりすぎるトップとはまったく別物とのこと。あくまで無駄な腕の力が抜けることで自然に左腕が曲がると解釈してほしいとのこと。
力が入りすぎて左腕が突っ張り過ぎたり、シャフトのしなりを上手く使えない人にオススメのドリルを教えてもらった。
「身近なもので出来るドリルは「バスタオルでの素振り」です。バスタオルの先端を結んでクラブヘッドに見立てて素振りをします。ポイントはバスタオルの結び目がトップでは左の肩甲骨に、フィニッシュでは右の肩甲骨に当たるように左右対称の意識を持って素振りします。普段のスウィングで余分な腕の力が入って左肘が突っ張る人や、間を取れずに振り急ぐ傾向のある人は最初はタイミングがうまく掴めなかったり、結び目が思わぬ方向に行ってしまったりするはずです。腕の力を抜いてタイミングがうまくとれるようになれば、リズムよく左右対称にバランスよく振れるようになってきます。この素振りと同じ力感でクラブを振れるようになると2人のような左腕が突っ張りすぎない自然なトップを作りやすくなるでしょう」(北野)
とくにバスタオルの素振りは家でもできるので、庭やリビングなど、振るスペースを確保できる所でやってみよう。