強さの秘密4 飛距離が伸びて、恐怖心とネガティブ思考がなくなった
日本オープンでアダム・スコットと練習ラウンドした後も「飛距離的には通用する部分はあるかなと感じたので、それだけでもすごく収穫でした。“Big drive Nice guy”という感じで言われました」。
今、あの頃と全然違うレベルにいる自分がいると、自負している。
「少し前の僕なら、タフなセッティングで打つ前、恐怖心などが芽生えていましたが、今はなるべく成功するイメージを持ち、自分のマインドを、振り切ると絶対真っすぐいくように朝から調節している。ネガティブな要素はほとんど持っていません」
昨冬からJGAのナショナルチーム入りしたことも大きい。
強さの秘密5 ガレス・ジョーンズコーチの教え
本大会でも、エイムポイントを使ったパッティング、3Iでのアプローチなど随所にヘッドコーチのガレス・ジョーンズ氏の“教え”を見せてくれた。
「世界アマで6打リードした最終日に守りに入る戦略を選び、逆転されて2位になった学習から今回は攻めていく選択をした。同時にタイガはまだいろいろなことが改善できる。たとえばコースマネジメント、戦略という部分は、まだまだ伸びしろがある。彼には体の強さやパワーがあり飛距離も出る。時速125マイル(約56m/s)のヘッドスピードもある。もともとの才能も伸ばしつつ、どんどん成長していってほしい。彼はフェラーリのよう。それを止めようとは思わない。あとは操作方法を学び、よりスマートに運転していけばいい」(ガレス)
強さの秘密6 夢と目標とプロデュース力
夢は4大メジャー制覇。
「小学校4、5年生の頃、テレビの取材を受けたんですけど、それから夢を叶えたいと思って口に出したり書いたりしています」
ただのビッグマウスではないと思わせてくれる蟬川。来年出場できるPGAツアーとDPワールドツアーの試合では優勝したいと考えている。しかし、30歳までは日本を主戦場とするつもりだ。
「複数回優勝して賞金王を取り続けていける選手になりたい。スポット参戦した海外メジャーでいきなり勝つ選手になることで『あの選手は見たい!』と日本の男子ツアーが盛り上がる起爆剤になれれば。野球、サッカーなどに勝つくらいの競技にしていきたい気持ちがめちゃくちゃ強いんです」
幼い頃、自分が観戦した試合には今と比べると倍くらいのギャラリーがいたことを覚えている。
「ネットのコメント欄を見ると、日本で活躍した選手はすぐ海外に行くが海外でダメになるということを書かれている。すぐに海外にトライすることもできますが、自分が日本ツアーでやっていけることも学ぶこともいっぱいある。ショートゲームなどまだ伸びしろがあると思うので30歳までにしっかりした土台を作りたい。英語の勉強も必要。気持ちもスキルも一番よい状態なのが30歳だと思うし、全然遅くないと考えています」
ガレス氏は語る。
「彼はエンターテイナーなんです。今回、皆さんも見ていて好きになったでしょう。この前のミーティングで日本のゴルフをもっと活性化したいと言っていました。彼にはそれができると思います」
強さの秘密7 ライバルプロたちが見た蝉川の実力
「ロングゲームが僕より上だった」(比嘉一貴)
「(日本オープンのコースを)2桁アンダーで回れるのはすごい。(松山)ヒデキと同じ道を辿れない理由はない」(アダム・スコット)
「技術もパワーも彼のほうが上」(中島啓太)
「英樹を見て育った世代。簡単に情報を取り入れる環境がある」(小平智)
「難しいセッティングでも攻めていけるという自信を彼から感じた」(石川遼)
※週刊GD22年11月15日号「蝉川泰果の強さの秘密に迫る」より