時松:リキの名前は漢字で「力」で、お姉ちゃんが「結」。名前の由来ってある?
河本:まず、2文字がよかったらしくて、4文字だと、たとえば源蔵さんのように「源ちゃん」って呼ばれるけど、2文字なら省略されずに「リキ」って呼ばれると。あとは、「結」は人と人を結ぶ、「リキ(力)」は強い人、そういう意味もあるみたいです。
時松:なるほどね。
河本:時松さんが姉の結とユーチューブでコラボしたことがきっかけで、僕と時松さんの距離も縮まった感じがしたので、そこは姉のお蔭ですね。
時松:確かに、名前の由来どおりだったよね。女子プロってドローヒッターが多いけど、結ちゃんはフェード系だったので、僕のスウィングイメージと近い感じがした。2人でゴルフも教え合ったりするの?
河本:練習も一緒にしますし、めちゃめちゃ教え合います。僕は元々ドロー系だったのを、方向性を考えてフェードも打てるようにしているので、結にチェックしてもらうこともありました。最近は、僕が結のスウィングを見るほうが多い。アメリカに行って少し調子を崩しちゃったので。
時松:海外プロでスウィングを見る選手とかはいるの?
河本:タイガー・ウッズですかね。スウィングがいいなと思うのはローリー(・マキロイ)。クラブの使い方とか体の使い方は参考にします。いや、参考まではいかないか。とりあえず、見ています(笑)。時松さんはどうですか。
時松:自分がフェード系なので、ドロー系のスウィングはいいなと思う。たとえば、原英莉花ちゃんのように手元を低くもってくるスウィングをやりたいとは思う。
河本:原英莉花ちゃんといえばスタイルがよいですよね。
時松:そっち? でも確かに悪い部分がないよね(笑)。ところでリキの今の課題は?
「パッティングは『考えるな、感じろ』だって……」(時松)
河本:グリーン上のパフォーマンスが悪いと思っているので、そこをしっかりやりたいです。時松さんはパッティングがすごく上手いので、何でそんなに入るのかって、今日はそこを聞きたいと思ってました。
時松:パッティングって考えたら入らないというか、ヘッドを真っすぐ引いて真っすぐ出すとか、そういうことを考えだしたら入らなくなるんだよね。このまえ、稲森(佑貴)が「考えるな、感じろ」って言ってた。
河本:感じる、ですか。
時松:イメージを作るっていうのと似ているけど、パターの調子がいいときは、ラインが勝手に見える。でも調子が悪いときはラインを考えて読もうとするんだよね。前のホールではボール1個で見て読み違えたから、このホールは1個半かなと考える。
河本:あ、めっちゃ考えます。
時松:でもいくらそうやって考えて読んでも、ラインのイメージが出てこなければ、考えたとおりには打てない。
河本:そうですよね。
時松:アマチュアの方でも、パッティングでアドレスに入るときに、フェース面が真っすぐ向いているかすごく気にする人がいるけど、それはボールを投げる前に目標に向かって「腕をここに通す」と考えるようなもの。実際にボールを投げるときには気持ちよく速く振れるところを感じ取って投げている。逆に「ここを通す」ことばかり考えていると腕が振れなくなる。アドレスでフェース面を合わせるのも同じこと。
河本:わかります。
時松:感じられているときは調子がいいときで、考えているときはダメなときなんだよね。リキもドライバーは、方向とか考えないでそのときの雰囲気で打つ感じでしょ。
河本:いや、けっこう考えています(笑)。
時松:あ、考えているんだ。
「風とか考えないほうが、いいプレーができた」(河本)
河本:はい。でもある程度は考えませんか、風とか。
時松:風は、感じるでしょ。
河本:あ、そうか。
時松:風を感じた後に、「左に行くかな」とか考えるとダメになるんじゃないかな。
河本:確かに、それは言えます。
時松:「考える=恐れ」だって言う人もいる。プロゴルファーは小さい頃からゴルフをしているから、ずっと感じながらゴルフしている。でも長くゴルフをやってきて、そこにプレッシャーや恐れが入ってくると、考えるようになるって。
河本:確かに、最初にチャレンジツアーで勝ったときは、暴風雨のなか、よいゴルフができてごぼう抜き状態で、優勝するなんて考えていなくてプレッシャーも感じなかった。今度、考えずにプレーします。それで優勝したら「考えるな、感じろ」ってコメントします(笑)。
時松:どちらが先に言うか、競争しよう。
※週刊ゴルフダイジェスト2022年11月22日号「時松プロ ご指名プロと技トーク わかったなんて言えません」より