2022年度のPGAツアー改革には、プロとしての夢と厳しさの両面があります。新しく導入される収益保証プログラムでは、ルーキーを含むすべての有資格者に年間50万ドル(約7000万円)が事前に支給されます。移動などの経費を心配しなくても済むため、キャリアをスタートさせたばかりの選手に大きなメリットが。ゴルフに専念できる環境をツアーが整える、これがアメ。また、昨年実施されたプレーヤーインパクトプログラムが復活。成績に関係なく話題性でファンの心をつかんだ選手に賞金を授与するプログラムで24年には上位20名に総額1億ドル(約148億円)が分配されます。
2023年末にはQスクールシステムも一新
一方、ムチの面はフェデックスカップのプレーオフに出場できる人数がこれまでのトップ125ではなく70人に絞られること。救済措置としてポイントランク71位から125位の選手はシーズン終了後、秋に実施されるトーナメントで順位を上げることができます。Qスクールも新しくなります。23年末に
開催されるQスクールで5位タイまでの選手に翌年のPGAツアーの出場権が与えられます。12年まで導入されていた下部ツアーを経ずに直接PGAツアーに出場する道が復活するわけです。コーンフェリーツアー(下部ツアー)に関しては年間賞金ランクトップ30、DPワールドツアー(欧州ツアー)も上位10名がツアーカードを取得できるようになります。
さらに、もっとも大きな改革は4大メジャーやザ・プレーヤーズ選手権、招待試合、WGCなどを含む17試合を『エレベーテッド・ステイタス』と位置づけ上位選手に出場義務を課す、あるいは自主的な出場を促すこと。トッププロは17試合プラス3試合の出場をコミット。フィールドの厚いトーナメントが多くなります。強豪が優勝賞金5億円をかけて戦えば選手のモチベーションも上がるし、見る側の楽しみも増えます。「ゴルフが大好きなので20試合といわずもっと多くの試合に出ようと思っています」とはJ・スピースの言葉。
「選手たちが組織を支えてくれています。組織と選手のパートナーシップの集大成をお見せしたい。彼らが存在意義を示してくれるでしょう」とモナハンコミッショナー。競合相手の出現で、ツアーは
より結束を強めています。
週刊ゴルフダイジェスト11月15日号より(写真/KJR・アレンジ/川野美佳)