今年の河本力の活躍を支えてきたパット専門コーチの丸山颯太。日本では珍しいパターコーチの道に、どのようにして進んだのか。週刊ゴルフダイジェストのツアー担当・ケンジロウがレポート!

こんにちはケンジロウです。パット専門コーチの話の続きです。聞けば丸山コーチは、今年初めてプロコーチとしてデビューしたばかりと言います。彼の経歴、気になりますよね。

丸山颯太は福井県出身。子供のころからゴルフをやってきたジュニアゴルファーあがりで、福井工大の中学、高校、大学とゴルフ部で育ちました。プロを目指して頑張ってきましたが、大学4年生のときに人生の岐路に立ちます。

「プロを諦めたのは、大学4年の9月ぐらいですかね。黒宮さん(黒宮幹仁。福井工大ゴルフ部コーチであり畑岡奈紗らトップ選手のプロコーチ)に相談して、進路の相談もしていくなかで、コーチという選択肢もあるぞと言われてハッとしました。もともと人に教えることやそれを勉強するほうに自分は興味があったので、自分でもびっくりするくらい、すぐに気持ちを切り替えて、コーチの道に進む決断をし、勉強をし始めました。そこからはひたすら勉強の日々で、そのなかでTPIのレベル2も取りました。そして大学卒業後、名古屋の黒宮さんのスタジオ(GOLSSYO)でレッスンを始めたんです。そこからはお客さんにレッスンしながら、自分でもゴルフの勉強をしてスキルを磨いてきました」(丸山)

なるほど。でも、そこでなぜパターに特化したコーチを目指したのか。

画像: 河本力が2勝目をあげた東海クラシックから、丸山はパッティングコーチとしてサポート

河本力が2勝目をあげた東海クラシックから、丸山はパッティングコーチとしてサポート

「大学4年生の時に橋本さん(パターコーチの橋本真和氏)のレッスンを受けに行ったんですよ。当時、他にパターコーチっていなかったですし、そういうのもありなんだな、と思って興味がわいてきて、そこでパターに強くなろうと思いました。他にもアプローチコーチなど選択肢も考えましたが、最終的にパターを選んだのは、自分がパターが好きだったというのもあります。最初はキャプト(パターの計測器)を買いました。キャプトを使って日々レッスンをして、とにかく経験を積んでいきました。自分としてはトラックマンやフライトスコープなどより、キャプトという機材がわかりやすくて、ビジュアルも読み取りやすく、それですんなり勉強できたと思っています。またクインテックという機材も扱うようになって、キャプトでクラブの動きを見て、クインテックでボールのパフォーマンスを見る。他に動画を撮ってストローク中の体の動きを見ています。ボール、クラブ、体の3つの動きを見れば、ある程度その人のパッティングで何が起きているのかがわかるんです」(丸山)

まだ本人は“勉強中”だと言っていますが、昨年まで大学生だった若者が、必死にコーチングの技術を磨いて、こうしてプロのトーナメントでコーチとして活躍している姿は、なんだか好感が持てますよね。河本に帯同して現場に行っていた「ZOZOチャンピオンシップ」の会場では、初めてのPGAツアーということもあり、海外の強い選手のパッティング練習を食い入るように見ていました。

「T・フリートウッド選手の練習が印象に残っていますね。キャディさんがグリーン上に適当にボールを置き、その位置からカップに対してどう曲がるかをキャディさんがラインを読んで、そのラインを選手に指示し、フリートウッド選手は言われたとおりに打っていました。キャディさんはエイムポイントでラインを読み、さらに傾斜計も使って、完全にその曲がるラインを可視化していました。これは曲がるラインのタッチの練習でもあり、またキャディと選手のグリーンリーディングのすり合わせにもなりますよね。そのあとに、ストロークの練習ではミラー(鏡)とレールを使って調整していました。ミラーでストローク中の肩の動きなどを見て、レールで打ち出しの確認。レールは日本でよくあるものとは違うデザインですが、目標に対して真っすぐアドレスして、狙ったところに打てないとボールが落ちるもの。パットの課題の項目をいくつかに分けて練習するやり方は参考になりますね。また、PGAツアーにいつも帯同しているパッティングコーチがひとりきていましたが、曲がるラインの頂点に練習器具を設置して、カップ以外のターゲットに対して真っすぐ打っていく練習を選手にさせていました。今週(ZOZO)も傾斜がきついので、打つときにターゲットラインがカップから外れるじゃないですか。曲がるラインのタッチと打ち出しの練習で、まさに本番を想定した実践的なやり方ですよね」(丸山)

画像: ZOZOチャンピオンシップでは、練習グリーン上でのT・フリートウッドとキャディのパット練習が印象に残ったという

ZOZOチャンピオンシップでは、練習グリーン上でのT・フリートウッドとキャディのパット練習が印象に残ったという

習志野CCのパッティンググリーン脇で目を輝かせて話す丸山の顔は、まだまだあどけなさの残るもの。22歳の若者が、この先どんな経験を積んでいくのか、今から楽しみだと思いました。

写真/姉﨑正、有原裕晶

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