本間ゴルフのブランド『ベレス』の最新作『NX』を紹介する。格子状凹凸構造が特徴的な「ソリッドカーボンクラウン」やヘッド後方ヒール寄りに配置した「キールデザインウエイト」など6つのテクノロジーを搭載した。
ではベレスNXのクラブとヘッドを計測していこう。試打・計測用クラブ、および計測用ヘッドはロフト角10.5度、シャフトはメーカー純正の『VIZARD FOR NX45 (フレックスS)』だ。クラブ長さが45.38インチとやや長いが、クラブ重量は288.9gと軽く、スウィングウェイトもD1.2と標準的なので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが285万g・㎠に抑えられている。この数値であれば、本来はドライバーのヘッドスピードが42m/s くらいのゴルファーにとってタイミング良く振りやすい設計と言えるだろう。
ヘッドは全体に丸形形状で、435㏄と最近のクラブのなかではやや小ぶりな大きさも特徴的。フェースアングルがフック1.5度と強いフックフェース、かつ59.5度というアップライトなライ角で、球をつかまえるイメージが出ている。
実際に試打したところ、軽量化と剛性アップを図ったヘッド上面(クラウン)に施されたくもの巣的な凸凹模様が目に飛び込んできて、慣れないうちは違和感を覚えるだろう。そして、シャフトはかなり軟らかく、ヘッドスピードが37 ~ 38m/s くらいのゴルファーでも十分に扱えそうだ。ヘッドのスイートスポットはフェースの中央よりもヒール寄りに位置し、ギア効果によりフェースの真ん中で打っても球にドロー回転がかかりやすくなっている。また、ヘッドのネック軸周りの慣性モーメントも6515g・㎠と小さく、ダウンスウィングでヘッドのローテーションをしやすいため、明らかに球をつかまえやすくなっている。
確かにやや小ぶりヘッドのため左右方向のヘッド慣性モーメントは4179g・㎠と小さく、寛容性のある、いわゆるやさしいヘッドではないが、大慣性モーメントヘッドが多く販売され、球をつかまえにくいクラブが多いなかで、球をつかまえてドロー系弾道を打ちやすくなっているのは他社とは違う方向性を示している。
実際、このベレスNXのターゲットと思われるシニアゴルファーに打ってもらった。自分のクラブでキャリーで180Yくらいのゴルファーが、ドロー系弾道で効果的に飛距離が出ていたのが印象的だった。ただし、晴天時にはカーボンクラウンの凸凹が太陽光を反射させやすく、アドレスでヘッドがまぶしくてフェースの向きが見えにくいこともあったので、注意が必要だ。
これが『ベレス NX』ドライバーの計測データだ!
※週刊ゴルフダイジェスト2023年1月31日号「松尾好員 責任計測×責任分析 ヘッドデータは嘘つかない!」より