モチベーションの一番は、世界ランク1位になること
PGAツアーを戦っている選手たちにとって賞金はもちろん重要ですが、トッププロたちのモチベーションはそれだけではありません。最強の選手たちと戦って勝利をつかみたい。それが彼らの原動力です。
選手のレベルを示す、わかりやすい目安は世界ランクです。セントリートーナメント・オブ・チャンピオンズで優勝したジョン・ラームは、1月第2週のランク4位。同大会には1位のローリー・マキロイとLIVゴルフに移籍した3位のキャメロン・スミスを除いて、当時の世界ランクトップ20のうち18名が出場しました。
ラームはかつてナンバー1に輝いた経験があるだけに、ランキングへのこだわりが特に強い選手です。試合後には「ここしばらく味わっていなかった世界最高の選手になれた気がする」と胸を張りました。その達成感が3億5000万円の賞金よりもうれしかったようです。
もちろん、その時点で世界ランク1位がマキロイであり、その前の1位がスコッティ・シェフラーであることは百も承知。昨年、世界で3勝し、終盤の8試合でベスト10入り7回(そのうちベスト5が5回)を数えるラームでも、マキロイを凌駕することができないのは、マキロイが昨年4月のマスターズ以降、世界で優勝4回、ベスト10入り14回、ベスト5入り12回と卓越した戦績を残しているから。
直近の出場8試合では8位タイ、優勝、2位タイ、4位、4位タイ、優勝、4位、優勝。これだけの結果を出すマキロイは世界ナンバー1にふさわしいと言わざるを得ません。
「誰もが犠牲をいとわず必死に努力している。そのなかで勝つことに価値がある。早く世界1位に戻りたい」と切実な思いを吐露したラーム。「頂点から見たあの景色をもう一度、いやできるだけ長く眺めていたい」。し烈な競争は続きます。ゴルフというゲームを最高のエンターテインメントに押し上げる主役=選手たちの真剣勝負を、ファンの方にはぜひ楽しんでいただきたいです。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年2月21日号より(ARRANGE/Mika Kawano、PHOTO/Blue Sky Photos)