12月16日、六本木ヒルズ アカデミーヒルズで2022年度JGAナショナルチームが慰労会を開催。それに先立ち、室伏広治スポーツ庁長官とJGAナショナルチームメンバー、ガレス・ジョーンズヘッドコーチによる特別座談会が行われた。選手とコーチの信頼関係が伝わってくる内容だった。

山中 最後に、来年や将来への抱負、今回の感想でも構いません。馬場さんからお願いします。
馬場 来年は、今年の全米女子アマに勝って出場権を得た海外の試合が何試合があるので、将来に向けてすべてを吸収するつもりで、楽しむことを忘れずに頑張りたいと思います。

橋本 私は他の競技のトレーニングにすごい興味があって、室伏さんの本『室伏式 世界最高の疲労回復」を読んだりしましたが、本当に今日、貴重な時間を過ごさせていただいてありがとうございます。アジアパシフィック女子アマで2連覇することが目標でしたが達成できなかったので、また新たな気持ちでアジアパシフィックを制覇したいです。2022年は海外メジャーに挑戦できたり、さまざまな経験をできたので、また来年できるように頑張りたいと思います。

蟬川 貴重な時間ありがとうございました。自分はアマチュアで2勝できましたが、まだプロとして1勝できていません。まず1勝することが目標であり、日本オープンで勝った時の「魅せるゴルフ」を忘れず、果敢に挑戦して結果も出せるよう頑張っていきたいと思います。

中島 本日は貴重なお時間をありがとうございました。今年の9月にプロ転向して、来年の1月からアメリカツアーのチャンスがあります。出る試合には勝ちたいっていう思いは変わりません。バーディパットが入った時の嬉しさとか、いいショットを打った時の感動を忘れず大事にしていきたいと思います。(蟬川)泰果が同年代にいるので、一緒にゴルフ界を盛り上げていけるよう頑張りたいと思います。

山中 ジョーンズコーチからもひと言、本日の言葉をいただければと思います。
ガレス 室伏さん、ありがとうございました。私の来年の目標は、しっかり眠れるようにすることです(笑)。色々なことでストレスがかなりあるので。こういった若い選手たちが、社会の中でいい貢献をできるように、いい人間になっていけるようにサポートしていきたいですし、私自身はそれをすることに「JOY」、嬉しさ、喜びを感じます。7年前に日本のヘッドコーチとして呼ばれて、まだ続けていきたいですし貢献したいと思っています。この若い選手たちが近い未来、社会の中でいい大人として育っていってくれることを期待しています。

室伏 貴重な時間を私もいただきました。すごい熱意に加えて「エイム」や「JOY」といったキーワードがありましたが、やはりスポーツをすることは喜びであって、楽しいことだと思います。皆さんにはそれを体現していただき、ジョーンズコーチがそれを牽引していく。今後も大いに期待していますし、我々も最大限応援したいと思います。頑張ってください。

外的要因が最も変化する競技がゴルフかもしれない

座談会終了後、室伏長官へ取材。エイムポイントを知ってみての感想は?
室伏 アスリートは目で見るだけではなく、自分の感覚が大事で、自分の体の感覚に聞くっていうことは本当に大事なことなんだと。人任せにして、人に聞いてばかりではスポーツにならない。傾斜に立った時、右側の筋肉を使っているとか、左側が緩んでいるとか、そういうことをとっさに察知しなければいつものスウィングはできないですね。人間は外的な要因にどう適応するか。適応する者が生き残るし強くなるということです。ゴルフがオリンピックの種目になり、オリンピック精神を持ってゴルフすることで、人としての成長もありますよね。人を育てるという意味でも大変重要な競技です。一方で、国家公務員規定で利害関係の方とゴルフができない。スポーツにも関わらずゴルフ場利用税がいまだにこの状況(課税されている)です。私はオリンピックの精神、スポーツの精神に反していると思います。皆さんの理解をいただき、こういったことが取り払われるようになればゴルフへのアクセスは加速するはずです。

── スポーツ庁長官として関係機関に働きかけは?
室伏 もちろんです。こんなこと(ゴルフ場利用税)は普通、国際的にありえない。すぐに対応していきたい。どうして時間かかってしまってるのかっていうのありますけど、ゴルフ界を含めてしっかり一緒に取り組んでクリアしていく必要がすぐにある。

── ゴルフ日本代表に、パリ五輪、ロス五輪で期待するところは?
室伏 今日の彼らの話を聞いて「ビハインド・ザ・シーン(舞台裏)」、彼らのバックグラウンドや取り組み、姿勢、そういうものも見てきたいなって思いました。指導者も選手のレベルも、本当に高いところにあると思いましたので、より一層応援していきたい。

画像: 今年の5月、ダイヤモンドカップでの練習ラウンド。ガレス・ジョーンズコーチとアマチュアで出場していた蟬川泰果(PHOTO/Tadashi Anezaki)

今年の5月、ダイヤモンドカップでの練習ラウンド。ガレス・ジョーンズコーチとアマチュアで出場していた蟬川泰果(PHOTO/Tadashi Anezaki)

慰労会を終えた中島、蟬川、馬場選手へ取材。
── 室伏さんと話して得られたものは。
蟬川 トップアスリートでやられていた方。悩んだ時の向き合い方を学べられてよかったです。
中島 日の丸を背負って、たくさんの応援を受けながらプレーすることの大事さを学ばせてもらいました。
馬場 実際にオリンピックに出て、しかも金メダルを取った方に聞くことができて、勉強になりました。

── パリ五輪、ロス五輪がこれからあります。オリンピックについての意欲は?
蟬川 パリ五輪まであと1年半ですね。来年1年間うまくいけば出られるかもしれませんが、高い目標ですけど、自分が来年、再来年、いい成績を残せばチャンスも増えるので、出られたらメダルを持ち帰れるように頑張りたいなと思いますが、まずは出場できるところまで世界ランキングを上げたいと思います。
中島 僕はもう1回とは言わずに、何回でも日の丸を背負ってプレーしたいですし、ただ、それだけを思ってオリンピックを目指して頑張りたいと思います。
馬場 私はパリ五輪はちょっと難しいと思うんですけど、何年後かの、次でもその次でもオリンピックに出たいと思うので、競技人生が終わるまでオリンピック目指して頑張ろうと思ってます。

── ナショナルチームで得たことを教えていただけますか。
馬場 私はナショナルチームに入ってちょっとしか経ってないですけど、パッティングのエイムポイントも水平器も使ったことありませんでした。ナショナルチームに入って使い始めて、それを使って練習するとすごく面白いし、ここに打つっていう目標もわかりやすかったので、頑張って習得したいと思いました。来年はプロテストがあるので、そこでいい結果で終われたらいいなって思います。
中島 チームに入ったのが中学3年生の時。ナショナルチームに入ってからの学びが僕のゴルフスタイルだと思っています。僕と泰果は(2023年の)ソニーオープンに出場するのでPGAツアーで一緒に戦えることを楽しみにしてます。

蟬川 僕はこの1年だけの期間でしたが思い浮かぶのがマネジメントですね。世界アマで、ジョーンズさんとコースに出て初めて練習ラウンドをして、色々な攻め方を教えていただいたんですけど、自分の「ドライバーをガンガン振っていくスタイル」はどうなのかなってちょうど思った時期でもあって。そこでジョーンズさんから「ドライバーをまず選択することを第一として考えること。ドライバーに自信がないんだったらその下の番手、スプーンだったりクリークだったり、3番アイアンだったり、そういったふうに(番手を)落としていくように。まずはドライバーを持てるか持てないかを考えることが大事」と言われたことがいちばんの学びとしてあります。それがパナソニックの優勝にも繋がっています。啓太も言いましたけど「ソニーオープンで初戦を迎えるので、そこでも啓太とバチバチに戦いたい」というコメントを記者の方は(欲しがっているのでは)。

── 馬場選手にお聞きしますが、今回、男子チームのお二人が卒業。先輩の姿を見られて、来年以降、ご自身がナショナルチームの中でどういった役割を担っていきたいですか。
馬場 私、まだ新入りなので(笑)、どういうふうにしていきたいっていうのは言えないんですけど、今回初めての合宿でしたが先輩たちから色々なこと教えていただいたので、これからは私が引っ張れるような成績を出せるように頑張ります。

(TEXT/Toshiaki Muraki、PHOTO/Junichi Horiguchi)

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