居酒屋の隣のテーブルでゴルフクラブの進化について語っている人たちがいた。話題はドライバーからウェッジへ。
「ウェッジなんか進化していないから、買い換えない」という声に対し、心の中で「そんなことないのに!」とつぶやく。というのも実は私も同じように思っていたのだが、最近試打した畑岡奈紗も使用するクリーブランド『RTX6 ZIPCORE』の進化に驚いたから。
ロフト別に異なるフェースブラストとレーザーミーリングを施した“HydraZip”フェースにより、芝や砂、水分などがボールとフェースの間に入り込むような悪条件下でのスピン性能を向上させた。
特にメッキ後にブラスト加工を施すことで、より鋭角で不均一な表面になり、あらゆる状況で優れたスピンコントロール性能を発揮するらしい。最大19本になる深く狭い高精度の溝設計“ULTIZIP”も高スピンを生み出す要因のひとつ。
また、独自の製法でフェース熱処理の時間・温度を調整したことにより、高い耐久性で、スピン性能が持続する点も嬉しい。製品名になっている‟ZIPCORE”はネック部に軽比重のセラミックをインサートすることで、余剰重量を生む独自の技術。
それを前モデルより大型化し、さらにロフト別に設計することで、より大きな余剰重量を創出。打点位置に近い重心位置を実現し、上下の慣性モーメントを増大させ、飛距離と方向性の安定感が向上している。
ロフトバリエーションが多く、54・56・58・60度はソール形状を選べるのもいい。「アレ、上手くなっちゃったのか?」なんて勘違いするほどヘッドコントロールがしやすい。スピンも安定するから距離も合う。私が味わった感動を、隣の席のゴルファーに伝えたい。
「ウェッジだって進化しているよ!」と言いたい気持ちを抑え、ハイボールの残りを飲み干して、後ろ髪を引かれつつ、店をあとにした。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年3月14日増刊号より(TEXT/Motoharu Tajima、PHOTO/Takanori Miki)