最終日前半。シェフラーを慌てさせた松山英樹の追い上げ
ザ・プレーヤーズ選手権の舞台がTPCソーグラスに移ってから41回目の開催となった今年、世界ランク1位のジョン・ラームが体調不良で途中棄権、3位のローリー・マキロイが予選落ちするなか、2位のスコッティ・シェフラーが圧巻のプレーで5打差の勝利を挙げました。
その最終日、シェフラーを慌てさせるような好プレーを見せたのが松山英樹選手でした。ジェネシス招待、アーノルド・パーマー招待と2試合連続予選落ちに終わり、昨年のアーノルド・パーマー招待で負傷した首の状態が悪化したのでは? と心配され、初日は「74」を叩き下位からのスタート。
しかし、2日目から尻上がりに調子を上げ、最終日は13番までで7バーディの猛チャージ。一時シェフラーに1打差まで迫ったときには、コロナの影響で中止となった2020年の初日の幻のコースレコード(今年トム・ホギーに塗り替えられましたが…… )の再現かと思われ鳥肌が立ちました。
ところが14番で思わぬコースの落とし穴にハマりダブルボギー。18番もボギーで通算9アンダー、単独5位に終わりました。
これまでの最高位は尾崎直道の6位タイ
実は松山英樹選手、この大会でのベストは7位タイ。ツアーの本拠地で行われる本大会での日本人最高位は1993年に6位タイに入った尾崎直道選手でした。
尾崎直道選手の初日は「72」のイーブンパースタート。2日目、3日目が「68」、最終日は「70」のトータル10アンダーの6位タイ。これがこれまでのザ・プレーヤーズ選手権の日本人最高位でした。
それを今回ようやく塗り替え、面目躍如となりました。
「ここでプレーすることに大きな意味があります」と松山英樹選手は言います。「プレーヤーズは毎年確実にトップ125に入らなければ出場できません。いかに安定したプレーをするかがテーマ。この大会でいつか1番になる、それが僕の目標です」。
来年は出場枠が絞られるかもしれないのでますます優勝の価値は上がりそうです。
トッププロが口々に「勝つのがもっとも難しい」、「ゴルフのあらゆる要素を試される最大のテスト」というTPCソーグラスは、松山英樹選手のようなボールストライカー向きです。
狙い澄ましたショットでグリーンを射止める彼のスタイルに、このコースはマッチしていると思えてなりません。
「いつか勝ちたいトーナメントリストに入っています。それが叶う日が来たらとても幸せです」。我々もその日が待ち遠しいですね。
週刊ゴルフダイジェスト2023年4月4日号より(ARRANGE/Mika Kawano、PHOTO/Getty Images)