「僕たちが作る部品に比べると、ゴルフクラブって精度が低い」と、航空機や自動車の部品を作っている取引先の職人さん。
彼らからすると、上から目線になってしまうレベルらしい。私が「あの‟無限”が加工しているウェッジもありますよ」と言うと、「ウソでしょ?」と一言。
‟無限”はレーシングカーのエンジンを開発する会社で、F1エンジンを作っていたことも。なぜ私がそんな反論をしたかというと、先日ブリヂストンゴルフの試打会で、BリミテッドBRM2フルミルドウェッジに衝撃を受けたから。
フェースだけでなく、ソール、バックフェースのすべてを機械加工で削り出すフルミルドウェッジ。
ミクロンレベルの微細な凹凸をフェースに加工するため、精密な技術を持つ‟無限”に依頼。ミーリング断面を微細に削り出すことに成功した。
それだけでなく、従来の直線的なミーリングをパン切り包丁のような波型の「ブレッドナイフミーリング」へ進化させ、ボールとの接触部を増やし、さらなるスピン性能とボールの乗り感をアップさせている。
「ウェッジにはルール規制があるしそんなに変わらないだろ」という気持ちで試打した。大して上手くもない腕前だけど、明らかにボールの‟乗っている感”がある。
鉄の塊を、レーシングカーのエンジンパーツのような精度で作り上げるこだわりに惚れた。機械加工の削り出しウェッジは、いろいろあるがコレは間違いなく頂点のひとつだろう。
ちなみに価格も間違いなく頂点。ブリヂストンゴルフの直営店や試打会でしかオーダーできないことにも惹かれた。
コースでの初使用。何だか使うのがためらわれる。バンカーなんてとんでもない。恐る恐る使うと惚れ惚れするぐらいのスピンと乗り感は中毒性アリ。
ウェッジは消耗品というけれど、溝が減ったらどうしよう。定期的に買い替える為に500円玉貯金から始めよう。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年4月11日号より(TEXT/Motoharu Tajima、PHOTO/Takanori Miki)