左足下がりの傾斜地が苦手な理由を探った
「傾斜地からのショットを苦手にしている人の多くは、アドレスの体重配分と、スウィング中の体重移動に問題があります。実は、そこを修正するだけでも、傾斜地におけるミスショットをかなり減らすことができるんです」(井上)
なるほど。体重配分と体重移動か……。とは言え、スウィング中、足裏のどこに、どれだけ体重がかかっているか。それがどのように移動しているのか、自分ではよくわからない。
そこで、登場するのが、豊田合成㈱から発売されたインソール『FEELSOLE』だ。この『FEELSOLE』、シューズの中に敷いて運動するだけで、足裏のどこに体重がかかっているのか、体重がどのように移動するのかが計測できるスグレもの。
今回は、この『FEELSOLE』を使用して、上級者と初級者の体重配分と体重移動を比較してみることにした。
というわけで、やってきたのは、傾斜地のなかでも苦手な人が多い左足下がりの斜面。ここから、8番アイアンを打ち、その体重配分と体重移動を計測した。まずは、井上コーチのデータを見てみると、
「注目してもらいたいのは、アドレスの体重配分です。平らなライでは、左56%右44%(ショートアイアンなので少し左足体重になっている)。左足下がりでは左78%右22%ですから、左足下がりのほうが左足に体重がかかっていることがわかります(基本的には、傾斜が強くなるほど左足体重になる)」(井上・以下同)
左足下がりは左足1本で打つつもりでOK!
「次に注目してもらいたいのが、バックスウィングにおける体重移動の量です。平らなライの場合は、アドレスで左56%右44%、トップで左47%右53%(移動量9%)。左足下がりの場合は、アドレスで左78%右22%、トップで左72%右28%(移動量6%)ですから、左足下がりはバックスウィングの体重移動が、約34%抑えられていることがわかります」
「このように、左足下がりでは、左足体重で構え、その体重配分をなるべく変えず、コンパクトな振り幅で、左足1本のまま打つようなスウィングが求められるわけです」
と、左足下がりにおける正しい体重配分と体重移動がわかったところで、傾斜地が大の苦手という細野里奈さん(ゴルフ歴2年)のデータを見てみると……。
「細野さんの場合、平らなライはアドレスで左55%右45%、トップで左35%右65%(移動量20%)。左足下がりは、アドレスで左72%右28%、トップで左57%右43%(移動量15%)になっています。つまり、左足下がりを左足体重で構えるところまではいいのですが、左足下がりでも体重移動がかなり大きいのです。だから、バランスを崩し、ミート率が落ちてしまう。これが傾斜地を苦手にしてしまう原因と言えるでしょう」
傾斜地でもフルスウィングしてしまうというのは、初級者にありがちなミスだ。では、そういう人は、どうしたら左足下がりのライを克服できるのだろう?
右足かかと上げドリルで左足下がり克服!
「まず、傾斜地に来たら、素振りをして、バランスを崩さずに振れる振り幅や力感をチェックすることが大切です。それで、『あぁ、この振り幅、強さなら、バランスを崩さずに打てるな』と感じたら、そのスウィングで打つのです。練習をするときには、右足のかかとを上げた状態でスウィングして、左足体重のまま球を打つといいのではないでしょうか」
ショット前の素振りと、右足かかとを上げて打つ練習は、誰でもすぐにできるので、気になる方は、ぜひお試しを。さて、コースに出れば、左足下がり以外の傾斜地もたくさんある。次回は、左足上がりからのショットを見ていくことにしよう。
(THANKS/木更津GC)