左足上がりは、ボールの手前が低く、ダフリにくいために、比較的やさしいと言われる。しかし、残念ながら上手く打てない人もたくさんいるのが実情だ。では、苦手にしている人は、どこに問題があるのか?
左足上がりは、右足体重で構え、右足体重のまま打つのがセオリー
プロコーチの井上透氏は言う。「左足上がりの斜面は、右足体重で構え、右足体重のまま体重移動を抑えて打つのがセオリーです。この感覚がつかめないと、左足上がりが苦手になってしまうのです」
大事なのは、アドレスの体重配分と、スウィング中の体重移動の量だと、井上コーチは言う。そこで、足裏にかかる圧力と体重移動を計測できる豊田合成㈱のインソール『FEELSOLE』を使用して、上級者と初級者のスウィングを比較してみた。
体重移動測定器で、上級者と初心者を比較してみた
まずは、井上コーチのアドレスのデータを見てみると、平らなライでは、左56% 右44%(8番アイアンなので少し左足体重になっている)、左足上がりでは、左21% 右79%と、明らかに体重が右足にかかっているのがわかる。ちなみに、左足上がりの場合、基本的には傾斜がきつくなるほど、アドレスの右足体重の度合は強くなる。
次に、バックスウィングの体重移動を見てみると、平らなライでは、アドレスで左56% 右44%、トップで左47% 右53%(移動量9%)。左足上がりでは、アドレスで左21% 右79%、トップで左26% 右74%(移動量5%)と、左足上がりのほうが約45%も体重移動の量が少ない。
では、ダウンスウィング以降の体重移動はどうなっているのか? ちなみに、平らなライでは、トップで左47% 右53%、インパクトで左57% 右43%、フィニッシュで左84% 右16%と、ダウンからフィニッシュにかけて、スムーズに左足へ体重が移動していた。
しかし、左足上がりになると、トップで左26% 右76%、インパクトで左40% 右60%、フィニッシュで左28% 右72%と、ダウンからインパクトにかけて、一瞬左へ体重移動が行われるものの、すぐに体重が右に移り、フィニッシュでは、ほぼアドレス時の体重配分に戻っていることがわかった。
「ダウンスウィングでは、インパクト方向にエネルギーが働くため、体重が左足に移動していますが、すぐ右足に戻っています。これは、右足に体重をかけたまま、右足1本で打つようなイメージでスウィングしているためです。そのくらいの意識でスウィングすることが左足上がりを克服するポイントと言えるでしょう」(井上)
では、左足上がりが苦手な人はどうなっているのか? 傾斜地からのショットが大嫌いという細野里奈さん(ゴルフ歴2年)のデータを見てみると……。
細野さんの場合、平らなライではアドレスで左55% 右45%、トップで左35% 右65%、インパクトで左63% 右37%、フィニッシュで左77% 右23%。
左足上がりでは、アドレスで左27% 右73%、トップで左4% 右96%、インパクトで左43% 右57%、フィニッシュで左47% 右53%となっていた。
左足上がり対策は、左足かかとを上げたまま打つ練習が効果的
「細野さんのデータを見ると、右足体重で構えるところまではいいのですが、左右の体重移動の量が大きく、ダウンからフィニッシュにかけて左足へ乗り込もうとしていることがわかります。これは、傾斜地でも平らなライと同じ感覚でスウィングしている証拠で、左足上がりでミスが出る、いちばんの原因なのです」(井上)
では、右足体重で構え、体重移動を抑えて打つ感覚を身につけるにはどうしたらいいのだろう?「練習方法としては、左足のかかとを上げた状態でスウィングして、右足に体重をかけたまま球を打つといいでしょう。あとは、同じ感覚でスウィングすれば、左足上がりの斜面は上手く打てるようになるはずです」(井上)
大事なのは、バランスを崩さないコンパクトな振り幅でスウィングすること。左足かかとを上げたドリルで、ぜひこの感覚をつかんでもらいたい。さて、次回は、つま先上がりからのショットの分析を行うので、お楽しみに!
(THANKS/木更津GC)