今やPGAツアーのトッププロ、松山英樹が大学の先輩で、オフもよく一緒にトレーニングしたりするという佐藤大平プロ。同じ29歳のプロ、時松隆光とトークを展開した。
画像: 「中国ではジェスチャーで話をしていました。だけどゴルフは万国共通で、いいプレーをすれば勝てるんです」という佐藤大平(Photo/Hiroaki Arihara)

「中国ではジェスチャーで話をしていました。だけどゴルフは万国共通で、いいプレーをすれば勝てるんです」という佐藤大平(Photo/Hiroaki Arihara)

松山英樹の「俺たちのプレーヤーズ選手権」はすごかった

時松 今年のマスターズ、松山英樹さんは16位タイでフィニッシュだった。

佐藤 大学の先輩でもある松山さんのアメリカでの活躍、本当に憧れるよね。いつも一緒にオフのトレーニングをやらせていただいてたんやけど、これがすごいんよ。僕はキツくて1日もたないというメニューを、松山さんは、やり通せる。

しかも、僕らがオフに追い込んでやるようなメニューを、PGAツアーのメジャーとメジャーの合間にされていたらしくて。それを聞いて、すごいなんて通り越して、バケモンやなって(笑)。

時松 そんな松山さんのトレーニングを、間近で見られるだけでも刺激になるね。

佐藤 もう、お腹いっぱい!  だって驚くことがたくさんありすぎて。2020年のザ・プレーヤーズ選手権で、松山さんが初日に63をマークして首位に立たれたけど、新型コロナウイルス感染拡大の影響で翌日から中止になった「幻の首位発進」と呼ばれたこと、あったでしょ?

あのとき僕もアメリカにいて、その試合から帰ってきたその当日に、松山さん、家の近所のゴルフ場にラウンドしに行った。「今から俺たちのプレーヤーズ選手権やろうぜ!」と言うて。

試合がなくなったからちょっと休憩、とかじゃなく、「俺たちの~」って言われたとき、ほんまにかっこええなあって。

時松 その「俺たちのプレーヤーズ選手権」、結果はどうだった?

佐藤 もちろん、負けたわ(笑)。僕もエグいスコア出たんやけど、1打差で負けた。だけど僕、ほんまは松山さんとのこういう話を雑誌でしたくないねん。だって松山さん、しっかり読んでるから(笑)。だからマスコミの人には、頼むから松山さんの話を俺に聞かんといてって思うんやけど。

時松 雑誌まで読んでるって、そのゴルフに対する情熱もすごいよね。じゃあ、大平が推薦をもらっていたアメリカのテキサス大学じゃなく、東北福祉大を選んだってことは、ジョーダン・スピースじゃなく、松山さんを選んだってことだと、ここでもう一度しっかり言っておかなきゃ(笑)。

佐藤 ほんま、松山さんを先輩にもって正解やったと思う。

時松 僕は大学へは行かず高校を卒業してすぐプロという道を選んだから、そういう先輩の存在とか、ああ、いいなあって思う。いいなあと言えば、結婚も早かったよね?

佐藤 嫁さんがいたから、頑張らなきゃって感じは、早くからあった。自分で言うのもなんやけど、中学で全国中学選手権に優勝して、高校、ナショナルチーム、大学と、エリート街道を走ってると思えていたわけよ。

そして「いけるやろ」と思ってQTを受けたら、ものの見事に落ちて。他の選手たちは早くからそのコースに乗り込んで練習していたのに、僕はぶっつけ本番でその週に行って落ちるという……つまり、ゴルフをナメとったんやね。

"アウェイの洗礼"を受け「絶対に勝ったろ」と思った

時松 それでチャイナツアーに?

佐藤 うん。嫁さんもいるし、何とかせなあかんなって思って、チャイナのQTを受けて、トップ通過して、その年に優勝もできて。でも、その翌年にも日本のQTを受けたら、首を寝違えて、また落ちた。

時松 そこからABEMAツアーの賞金王や、PGAツアーチャイナの優勝があって、今ここにいると。チャイナで、もっとやっていたいという気持ちもあったの?

佐藤 2019年、チャイナでも成績が出せていたし、もっと向こうへいようか迷ったんだけど、日本のツアーのシード権がかかっていて、東海クラシックで4位タイになるまで、日本の試合に出続けなければならなくて。

時松 だけど、チャイナに飛び込んで、生活も言葉も慣れずに不自由だろうし、勇気あるね。

佐藤 僕の場合、アメリカでも、中国でも、日本でも、住めば都。日本で暮らしてはいるけれど、拠点なんてない感じ。中国はデカいし、20試合ぐらいあったし、もう日本と中国各地を、転々としていたから。

中国の、飛行機でも新幹線でもないローカルの電車で移動して。楽しかったよ。中国では、試合以外でもずっとゴルフばっかりやってた。

時松 じゃあ、大平は、中国でも尊敬されたでしょ?

佐藤 それがビックリで、中国人選手とプレーオフになったとき、僕がバーディパットを外したらギャラリーが大歓声で、ガッツポーズしとる人おったし。池に入りそうになったら、「入れ! 入れ!」の大合唱。めちゃくちゃアウェイ。そやから、よーし、絶対に勝ったろと思ったわ(笑)。

※週刊ゴルフダイジェスト2023年5月2日号「時松プロ ご指名プロと技トーク わかったなんて言えません」より

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