「頑張ってきたことは間違ってなかった」(吉田優利)
「朝はすごく蒸し暑くて、でも途中で風向きが反対になって気温が下がって、番手は変わるし、風は反対だし、昨日までとは別コースのように感じました」
各日のラウンドでアンダーパーをマークしたのは初日4人、2日目、3日目がそれぞれ3人。3日間も十分に厳しい戦いだったが、雨と寒さ、風向きの変化でさらに厳しいコンディションとなった最終日を吉田はこう振り返った。
出だし5ホールで3バーディを奪った小祝さくらなど、追い上げてくる選手はいるものの、勢いは続かず、耐える吉田に追いつく選手は現れない。
終盤には1組前の申ジエが1打差に迫ったが、最終18番パー4で痛恨のボギー。時を同じくして、吉田は17番パー5をバーディとして突き放し、最後までリードを守り抜いた。
昨季は何度も悔しい思いをしたが
「その分、特別な試合で勝てましたし、頑張ってきたことは間違ってなかったなと思います」
アマチュア時代に最終日最終組でプレーした思い出のある大会でメジャー初制覇という最高の結果を残した。
「自分のことだけではなく周りに気を配る余裕が出てきた」(父)
優勝会見で吉田は、
「私の両親はなかなか試合を見に来ないので、ドライに聞こえるかもしれないけど、そうではなくて、ゴルフには口出しせずに私を尊重してくれている。私がやりたいことを好きなようにやれる環境に救われているので、この優勝で少し恩返しができたかなと思います」
と両親への感謝を口にした。
これに対し、父・英隆さんは
「優利は幼いころから手のかからない子。放っておいても、どうにかなる子でした」
あれこれと口を出さないのはゴルフに限ったことではないようだ。
最近はさらに娘の成長を感じているという。
「自分のことだけではなく周りに気を配る余裕が出てきたというか、大人になったなと思います。たまに私が観戦に行くと、試合中でも『水は持ってる?』と声を掛けてくれますし、家にいるときは弟や妹の面倒を見てくれる。下の子たちは優利と違って手のかかるタイプなんで親としては助かります(笑)」
コース内外で心に余裕ができたことが、今回の優勝に少なからず影響していたのだろう。
あと一歩で勝てなかった苦しいシーズンを乗り越え、我慢比べの末に手にした今回の優勝は、さらなる心の余裕や成長につながるはず。
さらに"大人"へと成長していく吉田が、次の優勝争いでどんなプレーを見せてくれるかが楽しみだ。