難しいセッティングほど、ショートゲームの重要度は高まる
好転に恵まれた初日、茨城ゴルフ俱楽部(西)のグリーンは、13フィート強の超高速仕上げ。2位スタートの吉田優利のパット数は26だった。初日のパット数トップは、宮澤美咲、岩井千怜など4人が24パット。
2日目は最大風速13.9メートルの風が吹いた。グリーンは硬くなり着弾したボールは止まらず、グリーン上は乾き、明らかに速くなっていった。
ほとんどがオーバーパーに落ちていく中、吉田優利はこの日、24パットで首位に立つ(4アンダー)。2日目ベストスコアで2位タイに急浮上した小祝さくらも同じ24パット。2日目を最少パットの22で終えた竹田麗央が5位タイに上がる。
2日目を終えて4打差の首位に立った吉田優利は、「グリーンの状態が良いので、時間とともにパットの狙いが、どんどん狭くなっていくのを感じました。午後になると、入るラインは本当にひと筋だけ。パットの3大要素の、ライン取り・回転・スピードのすべてが決まらないと入らないといった感じでしたが、入った時はそのぶんプロ冥利でした! 」
「(グリーンのコンディションが素晴らしいので)逆に入らなくても、3大要素のどれかひとつが欠けていたと自己分析できて、納得もできる。こういったコースでは、パッティングとショートゲームがスコアの生命線になります。それが充実しているので、難コースでも楽しくプレーできています」と語った。
3日目も強風が続き、さらに風向きが刻々と変化する一日となった。グリーンは相変わらず硬く止まらず、スティンプメーターは13フィート以上の超高速状態が続いた。
吉田優利は、この日5つボギーを叩いたが、最終ホールで初バーディを奪取、良い流れでホールアウト。3日目を終えた時点でアンダーパーは消え、首位は吉田優利のイーブンパー。
吉田は、入れごろの距離のパーパットを外すこともあり、パット数は全体18位の28とやや下げた。ただし、最後のバーディによってパットの調子も取り戻せる雰囲気だった。
吉田優利の4日間の平均パットは27
最終日は風に加え、春雨が降り続いた。おかげでグリーンが柔らかくなったことは、吉田には有利に働いたようだった。本来のショット力を活かして1番でバーディを奪った。その後、パットが決まらず苦しい展開が続いたが、バックナインに入って12番パー5でバーディ、そして、勝負どころの17番パー5で、3打目をピン横にピッタリつけてバーディ。優勝を決めた。
吉田優利の4日間の平均パット数は27で、全体の6位。対して、パーオン率は50%で全体19位。ちなみにパーオン率トップは、61%の申ジエだった
トータル1オーバーで優勝した吉田優利。申ジエは4オーバーの2位。3打の差はショットの差ではなく、難グリーン上での差だったのかもしれない。
今大会の優勝賞金は2400万円。使い古された言葉だが、「パット・イズ・マネー」は、錆びることのないゴルフの教えのようだ。
決勝ラウンドの2日間、吉田優利と同組で回ったリ・ハナは、「優利さんは速いグリーンへのアプローチとパット、ショートゲームが凄かった。私も優利さんのようなプレーヤーを目指そうと感じました」と、5打差の3位タイに終わった自分との差を分析した。
(PHOTO/Tadashi Anezaki)
※今大会の詳報続きや裏話は、5月9日(火)発売の週刊ゴルフダイジェストで掲載します。