精神年齢は自分のほうが低く感じちゃいます
小祝さくらは、4月に25歳になった。最近、ツアーに年下が増え、毎週のように活躍している。先輩だと感じることはあるのだろうか?
「そうですね……ほとんど自分より年下ですよね。若い子と一緒に回って、話をしていて思うのが、みんなすごく大人だなあと。精神年齢は自分のほうが低く感じちゃいます。今の子たちはみんなすごく大人っぽくてしっかりしている。ゴルフも、けっこうガンガン攻めたり、やっぱり勢いとかもありますよね」と言いながら、誰とでも仲良くなれるさくらは、後輩たちとも楽しくラウンドし、ときどきご飯を食べに行ったりする。
そこに、気負いはない。でも、今も‟黄金世代”と呼ばれる同期の存在は大きいと感じてもいる。
「みなみちゃん(勝みなみ)とか、奈紗ちゃん(畑岡奈紗)など、同期には昔から強い子がたくさんいます。でもこの世代に生まれていたから、ここまで来ることができたのはあると思うんです」
「私はアマチュアのときには、全然活躍できなかったので、『自分も頑張らなきゃ』と、いい意味で刺激をもらえたから、今があるんだと思います」
小祝さくらは、まじめだ。いつも冷静に状況を判断していて、感情の起伏が少ない。少なくとも周りはそう見ている。
調子の流れを変えようと、練習や試合の後でランニングを開始
「みなさん、適当に言っているんじゃないですか(笑)。全然自分では思わないんですけど……でもけっこう、今の選手は感情の起伏が少ない人が多いと思いますよ。まあ、別にそこを気にしてゴルフしていることはないです。生まれ持った性格ですから」
それでも、調子が悪いときは、落ち込んでしまうこともある。そんなときは、自分でいろいろ考えて解決しようとするのもさくら流。
今シーズン、安定感が持ち味の小祝が珍しく、隔週ごとに予選落ちした。そこで小祝は、ランニングをすることにしたのだ。
「疲れたときに走るとラクになることもあるんですけど……練習や試合の後に、ホテルの周りなどを走ってみようと思ったんです。15分くらいですけど、体力も集中力もつく気がして」
そうして、マネジャーがスタバのホワイトモカと大好物のミスドのポン・デ・リングを買って待ち合わせ場所に行くと、公園の芝生のなかにぽつんと座っているさくらがいた。どうやら、四つ葉のクローバーを探していたらしい。
小祝さくらは、縁起が良くなりそうなものが好きだ。恵方巻き、トイレ掃除、ウェアを着る順版…。今もばっちり四つ葉のクローバーを見つけ、きちんとセロハンテープで留めてキャディバッグにしまっている。
努力、ときどきゲン担ぎ。そこから、調子が上向きになってきた。小祝の努力を神様は見ているのかもしれない。今シーズンも休みなしでひた走る小祝さくら。そろそろ「優勝」の報を聞ける日も近いはずだ。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年6月13日号より