つかまるイメージがヘッド全体から出る
HS40m/s前後のゴルファーが高弾道・低スピンで最大飛距離を出せるクラブとして発表されたプロギア『LSシリーズ』。その2代目で最新の『LSドライバー』を紹介していく。試打・計測用クラブ、および計測用ヘッドはロフト角10.5度、シャフトは純正『スピーダーNX FOR プロギア(S)』仕様。掲載数値はすべて実測値になる。
クラブ長さが45.50インチとやや長いが、クラブ重量が287.6gと軽く、スウィングウェイトもD0.5とやや小さいので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが285万g・㎠に抑えられている。この数値であれば、ドライバーのヘッドスピードが42m/sくらいのゴルファーにとってタイミング良く振れる設計といえるだろう。
全体には前モデルと同様の丸いゲンコツ形ヘッドで、時計の文字盤でいう1~2時方向の張り出しが大きい。アドレスではフェースアングルがフック1.0度のフックフェースと60.5度というアップライトなライ角、そしてグースネック風の小さなFP値(フェースプログレッション)で、球をつかまえたいイメージが出ている。また、いまどきでは珍しいカチャカチャもウェイトビスもないシンプルな構造はこのヘッドの特徴といえるだろう。
ミスヒットに強く、弾道が安定する
実際に試打したところ、まずアドレスでは前述のフックフェース+アップライトなライ角+小さなFP値に加え、左を向いたクラウンの『LS』ロゴにより、球を左に打ち出すイメージが出ている。試打クラブのシャフトは軟らかめだが素直なシナリ感で、ヘッドスピードが40m/sくらいのゴルファーならこのフレックスSで十分だろう。
重心深度が40.0ミリと前モデルよりも浅く設計されているため、寛容性の高い大慣性モーメントヘッドを狙った設計ではないが、結果、ヘッドのネック軸回りの慣性モーメントも7373g・㎠と前モデルより小さくなっているので、ダウンスウィングでのヘッドの返りが良くなり、前モデルよりは球をつかまえやすくなっている。
フェースの反発は同社の『RSシリーズ』のヘッドと似た感じだが、前モデルと同じく、リアルロフト角が厳しく、しかもFP値が小さいグースネック系ヘッドなので、打ち出し角度がやや低めになりやすい。とはいえ、うまくミートすればボール初速を出しやすいヘッドといえるだろう。
シニアゴルファーに打ってもらったが、自分のクラブでキャリーが190~200Yほどのゴルファーが『RSシリーズ』よりも振りやすく感じ、球をつかまえて効率よく飛距離が出ていたイメージだ。
これが「LS」ドライバーの計測データだ!
60.5度というアップライトなライ角、フック1.0度のフェースアングル、小さなFP値など、すべての要素が球をつかまえるイメージを浮かび上がらせる。
リアルロフト角は10.4度で表示ロフトより0.1度小さい。球は上がりにくいが、ボール初速は出しやすく、当たれば飛ぶヘッドだ。
重心深度は40.0ミリと標準的。前モデルよりも重心深度が浅く、左右方向のヘッド慣性モーメントも4106g・㎠で非常に小さいため、大きな慣性モーメントを狙った設計ではない。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年7月11日号「ヘッドデータは嘘つかない!」より