PGAツアーのロケットモーゲージ・クラシックでリッキー・ファウラーが4年4カ月29日ぶりに復活優勝を飾った。バーディを獲らなければ万事休す。そんな崖っぷちの18番でバーディを決めコリン・モリカワ、アダム・ハドウィンと並びプレーオフに進出すると、1ホール目でバーディを奪って決着をつけた。大ギャラリーの盛大なリッキーコースに包まれながらファウラーはマヤちゃんを胸に抱き長かった旅路を振り返った。

ウィニングパットを沈めた瞬間ファウラーはパターのグリップに両手をのせほんの少し体を反らし天を仰ぎ大きく息を吐いた。その直後キャディのリッキー・ロマーノが抱きつき右手でファウラーの背中を激しく叩くと、ファウラーは3週連続でトーナメントを制したオデッセイのオーワークス・ヴァーサ・ジェイルバード(パター)を左手で掲げ笑みを浮かべた。

妻のアリソンさんからマヤちゃんを手渡されたファウラーは涙をこらえながらインタビューに応える。

「言葉にするのは難しいけれどこれまでのプレーを考えると(優勝は)時間の問題だと思っていました。チャンスがありながら勝てない厳しい週末を数回過ごしてきたけれど、そんなときも1日の終わりにマヤを抱きしめることができた。優勝は素晴らしいけれど人生にはそれ以上のことがあります」

「長い道のりだった」と本人がいったように勝てなかった約4年半は苦難の連続だった。09年のデビュー2戦目でいきなりプレーオフに進出するなど人気、実力ともに申し分なし。プレーヤーズ選手権を含むツアー5勝。メジャー勝利はないものの大舞台で存分に力を発揮しタイトルにあと一歩で手が届きそうな彼の姿に“ネクストメジャーチャンプ”の呼び声も高かった。

しかし突然勝てなくなった。昨年9月には世界ランク185位まで落ち、奈落の底でもがき苦しみ、ここ数年はメジャーをテレビで鑑賞することも多かった。

しかしどん底で彼が選択したのは13年間帯同してきたキャディのジョー・スコブロンと別れロマーノを起用すること。そしてコーチをジョン・ティレリーからデビュー当時習っていたブッチ・ハーモンに戻すこと。すると今シーズンはZOZOチャンピオンシップで2位に入ったほかコンスタントに予選をクリアしてきた。

そして5月末のチャールズ・シュワブ・チャレンジで6位タイ、メモリアル・トーナメントで9位タイとベスト10入りを重ね全米オープンでは3日目までトップを走り5位タイに終わったが強いファウラーが戻ってきたのを強く印象づけた。

続くトラベラーズ選手権の最終日にはキャリアベストの60をマークし「おそらく最近のプレーはこれまでのキャリアで最高だと感じている」。だから「失敗は怖れなかった」。もう一度勝てると彼は確信していたのだ。

「彼は素晴らしい夫であり素晴らしい父親です。そして周囲の人々に思いやりを持って接することができる。だからたとえ不調が続いえても彼は絶対戻ってきてくれると信じていた」と母校オクラホマ州立大学ゴルフ部の恩師マイク・マグローコーチ。

ウィニングパットを沈めた瞬間ここ数年の苦しみが一瞬で消えた。

「喜びに浸って少しお祝いをするつもりです。きっと感情が込み上げてくるでしょう。たとえば家に帰ったとき、あるいは来週の何らかのタイミングでね」

画像: 優勝直後、愛娘のマヤちゃんを抱きかかえるリッキー・ファウラー。ついに復活、今シーズンの成績にも注目していきたい(写真は2023年ロケットモーゲージ・クラシック 撮影/Getty Images)

優勝直後、愛娘のマヤちゃんを抱きかかえるリッキー・ファウラー。ついに復活、今シーズンの成績にも注目していきたい(写真は2023年ロケットモーゲージ・クラシック 撮影/Getty Images)

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