コーチ専用のゴルフスウィング解析アプリ「スポーツボックスAI」は、スウィング動画をAIによる3 D解析技術でデータ化することができる。今回はPGAツアー「ロケットモーデージクラシック」で約4年振りの復活優勝を果たしたリッキー・ファウラーの、現在と2013年当時のドライバースウィングを、ゴルフコーチ・北野達郎がAIを使って分析・比較してみた!

2人のコーチの指導で変わった2つのポイント

みなさんこんにちは。SPORTSBOX 3Dゴルフスタッフ・コーチの北野達郎です。今回はロケットモーデージクラシックで4年半ぶりに優勝して、日本でも非常に人気があるリッキー・ファウラーの2013年と、現在のドライバーでのスウィングをスポーツボックスAIの解析をもとに比較してみましょう。

画像: 4年振りの復活優勝を果たしたリッキー・ファウラー(写真は2023年の全米オープン 撮影/Blue Sky Photos)

4年振りの復活優勝を果たしたリッキー・ファウラー(写真は2023年の全米オープン 撮影/Blue Sky Photos)

ファウラーと言えば、デビュー当時は非常にフラットなスウィングが特徴的でしたが、ブッチ・ハーモンやジョン・ティレリーの指導を受けた現在のスウィングでは、どのように変化してきたのでしょうか?

この10年間でのスウィングの大きな変化は、①トップが高くなった。②身体の左移動が減って縦方向の力を使うようになった。この2点が主なポイントです。それでは早速チェックしてみましょう。

右足寄りに傾くアドレスは変わらないが、ボール位置はより内側に

まずアドレスですが、昔も今も身体全体を右足寄りに傾けて構える「ビハインド・ザ・ボール」のポジションです。2Dの写真でも、3Dのアバターでも、骨盤・胸・頭それぞれのポジションが右足寄りにあることが分かります。これはドライバーショットでインパクトの入射角をややアッパーブローにする効果があります。

画像: 左が2013年、右が現在のアドレス。ビハインド・ザ・ボールで構えるのは変わらないが、ボール位置は少し身体の内側寄りに変化した

左が2013年、右が現在のアドレス。ビハインド・ザ・ボールで構えるのは変わらないが、ボール位置は少し身体の内側寄りに変化した

そしてボール位置が、以前より現在のほうが僅かに内側に入れているのが分かります。これは後述するインパクトでの下半身の使い方の変化と関連があります。

低くフラットなトップから高いトップへ

続いてトップを見てみましょう。昔は低くフラットなトップがファウラーの特徴でした。スポーツボックスAIのデータ項目「MID HAND LIFT」は両手がアドレスから上下にどれだけ移動したかを計測する項目ですが、以前が41.3インチ(約104.9センチ)で、現在は42.8インチ(約107.8センチ)と、現在のほうがトップの両手は高くなっています。

画像: 左が2013年、右が現在のトップ。以前は角度のきつかった右肘の曲がり具合がゆるやかになったことで手元の位置も高くなった

左が2013年、右が現在のトップ。以前は角度のきつかった右肘の曲がり具合がゆるやかになったことで手元の位置も高くなった

また、このトップの高さと関連する項目に右肘の屈曲「TRAIL ELBOW FLEXION」がありますが、以前が50度、現在が74度と以前のほうがよりきつく右肘を曲げていたことが分かります。スポーツボックスAI社が調査したトップでの右肘の屈曲角度のPGAツアープロのレンジ(範囲)は、57.1度〜74.5度ですので、以前はきつく曲がっていた右肘は、現在はツアーレンジ内に収まってきたことが分かります。このトップの高さの変更は、ブッチ・ハーモンと主に取り組んできたポイントです。

左サイドへの移動が少なくなり縦方向の動きが増えた

そして、ファウラーがジョン・ティレリーと取り組んで、以前より大きく変わったのは下半身の使い方です。以前より左への移動(スウェイ)が少なくなり、その代わり縦方向の膝の伸展が増えました。

インパクト時のデータを比較してみましょう。以前は骨盤と胸の左への移動量が多かったのですが(骨盤9.6インチ・約24.4センチ左、胸6インチ・約15.24センチ左)、現在は骨盤・胸ともに左への移動量は減り、より右サイドに身体を残してインパクトしています(骨盤2.4インチ・約6センチ左、胸−0.9インチ・約2.3センチ右)。

画像: 左が2013年、右が現在のインパクト。左サイドへ身体が動く量が減り、より右サイドに体を残した状態でインパクトするように。また左膝を以前より伸ばし、左足かかとが浮き上がるほど地面を強く蹴っている

左が2013年、右が現在のインパクト。左サイドへ身体が動く量が減り、より右サイドに体を残した状態でインパクトするように。また左膝を以前より伸ばし、左足かかとが浮き上がるほど地面を強く蹴っている

身体の左への移動が減ったことで、ヘッドの最下点は右サイドになります。先程アドレスでボール位置が以前より内側になったとご説明しましたが、この身体の左への移動量が減って、ヘッドの最下点がより右サイドになったことが関連していると考えられます。

もう1点、以前と異なるインパクトでの下半身の使い方は、左膝がより伸びるようになったことです。左膝の屈曲・伸展の角度を表す「LEAD KNEE FLEXION」は、以前が164.4度、現在が167.1度で、現在のほうがより左膝が伸びてインパクトしていることが分かります。

2Dの写真でファウラーのインパクトをご覧頂くと、以前は左足が地面に付いていますが、現在は左足かかとが浮き上がるほど地面を強く蹴っていることが分かります。以前より身体の横移動(ホリゾンタル)を減らして、縦方向の力(バーチカル)を使うようになったことが写真でもデータでも分かりますね。

この動きを取り入れ始めた頃は、飛距離が伸びた代償に他のデータが下降して一時期スランプに陥ったこともありましたが、昨年秋から再びブッチ・ハーモンに指導を受けるようになってからは、この飛距離アップに方向性も備わって、今季のトータルドライビング(平均飛距離とフェアウェイキープ率の順位をそれぞれ足した合計値のデータ)のPGAツアーランキングは現在20位に付けています。

今回はリッキー ファウラーの10年前と現在のスウィングの変化について解説させて頂きました。昨年のZOZOチャンピオンシップで2位タイに入った頃から徐々に復調してきて、全米オープンでは最終日最終組で5位、そして多くのファンが喜んだ今回の復活優勝では、ウイニングパットを決めた瞬間に空を見上げて、これまでの長い道のりが込められた安堵の表情が、非常に印象的でしたね。

次のメジャーの全英オープンはロイヤルリバプールが舞台です。前回開催の2014年大会では2位タイに入っていて、コースと相性の良いファウラーのメジャー初優勝はあるのでしょうか? 多いに期待したいですね!

This article is a sponsored article by
''.