大きなリアルロフトでつかまるイメージ
業界初のカーボン素材のみで構成した「360度カーボンシャーシ」を導入したキャロウェイ『パラダイムシリーズ』。そのなかでもっともドローバイアスで高打ち出しの、やさしく飛ばせる仕様と謳うのが今回紹介する『パラダイム Xドライバー』だ。
試打・計測用クラブ、および計測用ヘッドはロフト角10.5度、シャフトは純正『ベンタス TR NVY5 for Callaway(S)』仕様。掲載数値はすべて実測値になる。
クラブ長さは45.0インチと標準的だが、クラブ重量は307.9gとやや重く、スウィングウェイトもD3.8と非常に大きいので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが292万g・㎠と大きくなっている。この数値だと、本来はドライバーのヘッドスピードが46m/sくらいのゴルファーにとってタイミング良く振れる設計となっている。
兄弟モデルの標準『パラダイム』よりもヘッドの横幅が広く、全体的には前モデルの『ローグST』に近いヘッド形状。米国モデルらしく、アドレスではフェースアングルが1.0度オープンのオープンフェースだが、『パラダイム』よりもアップライトな60.0度のライ角、そしてバルジ(トウ・ヒール方向の丸み)の少ない平らなフェース面、小さなフェースプログレション(FP)値と12.0度の大きなリアルロフト角で球をつかまえるイメージが出ている。
高弾道で球が安定する
実際に試打したところ、大きなヘッドでミートしやすい雰囲気が出ている。また、ヘッド後方が低い「シャローバック」なので、インパクト付近をアッパーにスウィングするイメージがある。
試打クラブのシャフトはやや軟らかめながら適度なしっかり感もあり、インパクトも安定。ヘッドスピードが43~ 44m/S くらいのゴルファーならこのフレックスSがいいだろう。
標準『パラダイム』と比較して、ヘッド重心がヒール寄りのドローバイアスで、球をつかまえてドロー系弾道が打ちやすくなっているのが特徴だ。一方で、『パラダイム』と同様にヘッドのネック軸回りの慣性モーメントが8181g・㎠と非常に大きく、基本、ダウンスウィングでのヘッドの返りが緩やかなので、そのあたりに気をつけてスウィングしたい。また、『パラダイム』よりも重心深度が浅く(38.3ミリ)設定され、左右方向のヘッド慣性モーメントも小さい(5197g・㎠)ので、寛容性に関しては『パラダイム』のほうが上回っている。
カーボン部分の比率が大きい複合ヘッドなのでインパクト音が低いが、『パラダイム』よりも高弾道で球をつかまえたいゴルファーに向いているといえる。
これが「パラダイムX」ドライバーの計測データだ!
標準『パラダイム』よりも横幅が広いヘッド形状だが、重心深度は38.3ミリと浅め。似た横幅の『ローグST』よりも重心深度が浅く、いわゆる大慣性モーメントを狙っているヘッドではない。
リアルロフト角が12.0度で表示ロフトより1.5度も大きい。球は上がりやすく、60.0度と非常にアップライトなライ角もあってつかまる。
重心距離が42.0ミリと非常に長く、スイートスポット位置はフェース中央よりもヒール寄りなので、ドローバイアス設計といえる。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年8月1日号「ヘッドデータは嘘つかない!」より