2カ月前にステップ・アップ・ツアーで初優勝
同じ黄金世代の小祝さくらに首位の座を奪われて迎えた12番パー3、ここから小滝の猛チャージがスタートした。
155ヤードを7番アイアンで1メートルにつけて追いつくと、続く13番パー4ではグリーン右のバンカーから30ヤードを放り込むチップインバーディ。
「ボギーにしたくない気持ちのほうが大きかったので、コロンと入ってビックリしました。ギャラリーの歓声がすごくて、それが嬉しかったです」
これで単独首位の座を奪い返すと、勢いに乗って16番まで5連続バーディ。一気にライバルたちを突き放し、初優勝を決定的なものにした。
小滝は2017年のプロテストで小祝や勝らとともに一発合格。18年のシーズン終盤には早くも2試合連続でトップ5に入る活躍を見せた。
このまま同じ黄金世代の選手たちとともに順調にステップアップを果たすかに思われたが、19年以降はケガもあり低迷が続いていた。
今季もQTランク114位と厳しい位置で開幕を迎えたものの、5月に台湾で行われた「CTBCレディスオープン」では下部のステップ・アップ・ツアーながらプロ7年目にして初優勝。
その際に口にしていた「ステップでの2勝目、3勝目」という目標を飛び越え、わずか2か月でレギュラーツアーでも初優勝を手にした。
ジュニア時代は同じ茨城出身の畑岡奈紗と中嶋常幸の指導を受けた
小滝の飛躍の要因として挙げられるのが、オフから取り組んでいるメンタルトレーニング。
1990年代に日本の女子ツアーでプレーし、2勝を挙げているオーストラリア人のメンタルコーチ、ジェニファー・セビルさんの指導を受け
「『あなたは集中しているより、楽しい感情を出していったほうがうまくいくんじゃないか』と言われて、今年はずっとそれでやっています」
悲願の初優勝にも涙はなく、笑顔で喜びを表現した。
小滝は、中嶋常幸が主宰するトミーアカデミーの一期生。ジュニア時代は同じ茨城出身の畑岡奈紗とともに中嶋の指導を受けた。
また、茨城・明秀日立高ゴルフ部の一期生でもある。
母校は今や強豪校となり、2年後輩の髙久みなみ、さらに年下の佐藤心結、小暮千広とプロテスト合格者も次々に生まれている。
「友達と何人かで集まるとか、一緒に行動するのはちょっと苦手」
と団体行動は決して得意ではないようだが、苦しみながらも初優勝にたどり着いた小滝の背中はこれからプロでの活躍を目指す後輩たちの道標になっていくはずだ。
※黄金世代の優勝者。畑岡奈紗、新垣比菜、大里桃子、勝みなみ、河本結、渋野日向子、原英莉花、小祝さくら、浅井咲希、植竹希望、高橋彩華、吉本ひかる、小滝水音(プロ転向後の初優勝順)