数々の名器を世に送り出してきたブリヂストンですが、近年はドライバーやFWに苦戦していました。しかし新しくなった「Bシリーズ」のドライバーを数年ぶりに実戦投入した堀川未来夢選手や桑木志帆選手は既に結果を出し始めています。
近年の外国ブランドを見ると、プロなら打ちこなせるようなプロモデルは求められず、やさしく飛ばせるモデル、つまり慣性モーメントが大きく直進性が高く、初速が速く、打ち出し角とスピン量が適切というモデルをPGAツアー選手もこぞって使用する流れが続いています。
それは素材やテクノロジーを満載した開発重視の方向性ではなく、そこにプロからのフィードバックを取り入れ開発することで幅広いゴルファーにとっても最適なモデルになることを意味しています。
そう考えると新「Bシリーズドライバー」は、「B1ST/B2HT/BリミテッドB1LS」の3モデルをラインナップし、ツアープロも含めた多くのゴルファーがやさしく飛ばせるモデルに仕上がっていると感じました。
ブリヂストンが用意してくれた試打ラウンドでは、練習場でフィッティングをし、ドライバーのモデルとシャフトを決め、コースに持ち込み9ホールのラウンドしながら実試打を行いました。その間に宮里聖志・藍兄妹のトークセッションあり、スタートホールでのデモンストレーションあり、途中のパー3では同じく発表されたボール「JGR」や新アイアン「233HF」を実打する宮里藍プロとニアピン対決をしたり、宮里聖志プロと新FW「B1ST/B2HT HY」でグリーンを狙ったりと、かなり贅沢な時間を過ごさせていただきました。
スタート前の練習場とラウンドで、ヘッドやシャフトを変えながら打ち比べてみると、それぞれのモデルの性格が見えてきました。ここで3モデルに共通するフェース面のテクノロジーを紹介します。
フェース面に微細なミーリングがインパクト時の”食いつき”を高めることでスピン量を減らすというもの。インパクト時には、バルジやロールといったフェース面の丸みの影響でボールがせり上がることをミーリングが防ぎスピン量を減らすことで直進性を高めるとの説明。こういった技術は数世代前のモデルから搭載されていましたが、今作からは縦方向だけでなく横方向のせり上がりにも対応したといいます。
もう一つは、ヘッド内部に設置された反発性能をコントロールするサスペンションコア。トウ・ヒール側の反発性能を確保することで高初速エリアを広範囲に広げ飛距離性能に貢献するというものです。
B1STは強い弾道と低スピン
「B1ST」は比嘉一貴選手や堀川未来夢選手、吉田優利選手が使用するモデルですが、打った瞬間に使用することを決めたくらいの手ごたえがあったといいます。ソール後方とソール面に可変ウェートを備えドローやフェードの持ち球に対する調整幅を持たせています。
構えてみるとカーボンクラウン、フェース面の見え方、フォルムとも適度な大きさとストレートなフェースでスクェアに構えやすい第一印象です。
クラウン部の内部に新構造のスタビライザーを設置することで、打感の向上とクラウンのたわみ過ぎを防ぎ、ヘッドスピードの速いゴルファーの要望にも応えられるモデルに仕上がったといいます。
実際に打ってみると、球が強い! 球が上がるのに、前に前に、と飛ぶような弾道。それでいて左右に球がバラけない。そういう印象でした。実際にコースで打ってみてもその通りの弾道が再現できました。ロフトとシャフトを合わせれば、強い弾道が手に入るはずです。
「B2HT」はつかまって飛ばす
続いて「B2HT」は「B1ST」にあったクラウン部のスタビライザーはあえて設置していません。クラウンをたわませて飛距離に結びつける構造となっています。ソール後方の可変ウェートもややヒール寄りに設置されていて、ドローバイアスが効いたつかまるドライバーに設計されています。
構えてみると「B1ST」よりもやさしさを感じられるフォルムになっていて、安心感のある見た目になっています。実際に打ってみると慣性モーメントの大きさを感じるオートマチックなフィーリングで、右に逃げない感触と弾道が見られました。「B1ST」に比べると少し弾道は高く、よりつかまる感覚です。
コースに出てシャフトを三菱の1Kブルーを装着したところ、スピン量の少ないストレートな弾道でかなり好感触でした。3モデルの中で最も多くのゴルファーに受け入れられるモデルではないでしょうか。
「BリミテッドB1LS」は曲がりの少ない低スピン
「B1ST」よりもさらに低スピンでロフトは9度のみとヘッドスピードの速いゴルファーやプロにとって安心して振りきれるモデルです。引き締まった見た目で、フェース寄りのソールの重量を可変できるウェートはスピン量を増やさない工夫が見て取れます。
5月にテストして高評価だった桑木志帆選手は待望の「BリミテッドB1LS」を手にし、「資生堂レディスオープン」ではプレーオフの末2位と結果を残しています。
9度のロフト通りの中弾道で前へと飛んでいきます。ヘッドスピードの速いゴルファーが使っても、球が吹き上がることなく飛距離と方向性をもたらしてくれるはずです。カスタム専用モデルとなっているのでブリヂストンの試打会や直営店から注文することになります。
以上が3モデルを打ち比べたインプレッションですが、店頭に並ぶのは9月8日発売となっています。ドライバー部門は外国ブランドに押され気味ですが、真っ向から戦えるモデルがきっと見つかるはずです。
他には7番のロフト28度と飛び系アイアンなのにアスリートモデルのような見た目と打感の「233HF」。コースでは様々なシチュエーションからスチールシャフト、カーボンシャフト装着モデルを打ってみると、これまで思っていた飛び系アイアンに対するイメージは覆されました。
カットモデルで内部構造を見てもわかる通り、中空構造に硬さの異なるフォームを充填しタングステンも設置したことで、球の上がりやすさと弾きの強い素材を採用しながらも打感を改善する構造がしっかりと効いていました。
大きすぎないヘッドサイズはラフからの抜けも良く、力まずに打てる安心感は飛び系アイアンを手にするゴルファーにとって間違いのない選択肢になることでしょう。
新ウェッジ「BRM2」と「BRM2 HF」との打ち比べもネック形状の違いもあって興味深いものになりました。実際の芝の上から打つと往年の名器「J’s」のグースネックの彷彿させる「BRM2 HF1」のスピン性能の高さや使い勝手の違いも感じられ、使い勝手の良さを認識しました。
と盛りだくさんの内容で試打ラウンドを終えました。長くゴルフを続けているゴルファーならだれもが所有したことのあるブリヂストンのクラブ。古い話ですが「ジョーキャビ」から「X100ドライバー」など自分でも研修生時代には使っていました。
当時はブリヂストン、ダンロップ、ミズノが主流で、ほとんどのプロや研修生、一緒に回ったおじさんたちもこの三大メーカーのクラブを使っていました。時を同じくしてダンロップがキャロウェイを販売するようになり、ビッグバーサ旋風が巻き起こり外国ブランドと国産ブランドの熾烈な争いが展開されることなったことを思い出します。
話しは逸れましたが、ここのところ外国ブランドに押され、少し元気のなかったブリヂストンの新製品を体感して、やっぱりブリヂストンのクラブやボールは意のままにコントロールできたときの満足度の高い製品だと改めて感じました。
ブリヂストン使用プロの活躍も含めて新ドライバーを目にする日が多くなりそうです。