多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏は「クラブ選びは重心選び」と表現する。最新のギアを計測・分析するなかで、注目データをピックアップし、読み解く。今回はキャロウェイ「ビッグバーサ」ドライバー。クラブ選びの参考にどうぞ!
画像: 【試打クラブスペック】●ロフト角/10.5度 ●ライ角/60.0度 ●価格(税込)/7万5900円 ※すべてメーカー公表値

【試打クラブスペック】●ロフト角/10.5度 ●ライ角/60.0度 ●価格(税込)/7万5900円 ※すべてメーカー公表値

「パラダイム」よりも振りやすい

スライサーのスウィングを徹底的に解析し、キャロウェイが「スライスキラー」という『ビッグバーサ ドライバー』を紹介する。投影面積とフェース面を大きくすることで安心感をもたらし、ドローバイアスは『パラダイム X』ドライバー以上という。

試打・計測用クラブおよび計測用ヘッドは、ロフト角10.5 度、シャフトは純正『スピーダーNX for Callaway(S)』仕様。掲載数値はすべて実測値になる。

クラブ重量は298.9gと標準的で、クラブ長さは45.0インチと標準的とはいえ、最近では短めなので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが288万g・㎠に抑えられている。この数値であれば、ドライバーのヘッドスピードが43 ~ 44m/s くらいのゴルファーにとってタイミング良く振りやすいクラブといえる。キャロウェイの今季モデル『パラダイム』や『パラダイム X』よりも振りやすいだろう。

ヘッドの横幅が広く、全体に三角形の少し異形状的な雰囲気は前モデル『グレート ビッグバーサ』からの踏襲。アドレスではフェースアングルが前モデルのオープンフェースから、1.0度フックに変更され、大きく変化。60.0度と非常にアップライトなライ角とグースネック風の小さなフェースプログレッション(FP値)で球をつかまえたいイメージが伝わってくる。

ドローバイアスが強いモデル

実際に試打したところ、ヘッドの後方が低いシャローバック形状なので、インパクト付近をアッパーブローでスウィングするイメージがある。試打シャフトはかなり軟らかめだが、素直なしなり感で、ヘッドスピードが38~39m/sくらいのゴルファーならこのSフレックスで十分だろう。クラブ長さが45.0インチと長過ぎないのでミート率も良く、『パラダイム』『パラダイムX』よりもクラブ全体の慣性モーメントが小さい(288万g・㎠)ので、振りやすくて飛距離も満足できる。

画像: ヘッド後方が低いシャローバック形状(写真上)。写真下のようにスイートスポット位置がヒール寄りにあり、ドローが打ちやすくなっている

ヘッド後方が低いシャローバック形状(写真上)。写真下のようにスイートスポット位置がヒール寄りにあり、ドローが打ちやすくなっている

ヘッドは『パラダイムX』よりもフックフェースで、かつヒール寄りの重心設定でドローバイアスが入っているのが特徴。またヘッドのネック軸回りの慣性モーメント(7429g・㎠)も『パラダイムX 』よりも小さいのでダウンスウィングでヘッドが返りやすく、全体に球をつかまえやすくなっている。

インパクト音は低めで少し軽い感じだが、総じてドロー系の中弾道の球が打ちやすく、上手くミートすれば強い球を打てそうだ。普段フック系弾道のゴルファーには球がつかまり過ぎてコントロールが難しいかもしれないが、逆に球をつかまえ切れないスライス系ゴルファーにはピッタリだろう。

これが「ビッグバーサ」ドライバーの計測データだ!

フェースアングルは1.0度フック。前モデル『グレート ビッグバーサ』や『パラダイム』『パラダイム X』はオープンフェースだったが、今回はフックフェース。また三角形ヘッドでFP値も小さく、最初は戸惑うかもしれない。

重心深度は38.5ミリとやや浅い。重心深度を浅くすることで、スイートスポット(SS)位置を低くすることが可能になる。大慣性モーメントを狙ったヘッドではない。

39.2ミリの標準的な重心距離とはいえ、SS位置は『パラダイム X』と比べてヒール寄りにある。よりドローが打ちやすくなっている。

画像: フェースアングルがフック1.0度で、ライ角は60.0度。ボールをつかまえたいイメージが湧いてくる

フェースアングルがフック1.0度で、ライ角は60.0度。ボールをつかまえたいイメージが湧いてくる

※週刊ゴルフダイジェスト2023年8月8日号「ヘッドデータは嘘つかない!」より

各ドライバーのヘッドデータが比較できる、キャロウェイ ドライバー図鑑はこちら

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