多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏は「クラブ選びは重心選び」と表現する。最新のギアを計測・分析するなかで、注目データをピックアップし、読み解く。今回はダンロップの「スリクソン ZフォージドⅡ」アイアン。クラブ選びの参考にどうぞ!
画像: 【試打クラブスペック】●ロフト角/33度 ●ライ角/62度 ●価格(税込)/13万8600円(#5~PW・6本セット) ※すべてメーカー公表値

【試打クラブスペック】●ロフト角/33度 ●ライ角/62度 ●価格(税込)/13万8600円(#5~PW・6本セット) ※すべてメーカー公表値

ストレートネックでスクエアに構えやすい

『スリクソン ZフォージドⅡアイアン』を試打・計測していく。7番アイアンのヘッドとクラブ(シャフトは『ダイナミックゴールド DST(S200)』仕様)で、数値はすべて実測値になる。

クラブ長さが36.88インチとやや短いが、クラブ重量は435.7gと重いので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ慣性モーメントが274万g・㎠と大きくなっている。この数値であれば、本来はドライバーのヘッドスピードが48m/sくらいのゴルファーにとって、タイミング良く振れる設計といえる。

ヘッドはツアーモデルらしくオーソドックス、かつ小ぶりな形状。ストレートネックでラインに対してスクエアに構えやすくなっている。

実際に試打したところ、フェース長は短く、操作性の良さを感じる。また『スリクソンZX5 MkⅡ』や『スリクソンZX7 MkⅡ』に比べ、フェースのトウ側が低いので、アドレスでのアップライト感が抑えられ、よりラインに対してスクエアに構えやすいイメージが出ている。

試打クラブのシャフトは重めでしっかり感があり、ヘッドスピードが速いゴルファーがダウンブローに打っても耐えてくれる。またPGAツアーでいまも多くのプレーヤーが使用するマッスルバックのヘッド形状は格好良く、かつ打点部が肉厚で、芯を食った時の打感は何とも言えないフィーリング。

インテンショナルに球を操れる

ヘッドは小ぶりなので夏のラフからの抜けも良く、また重心距離が35.4ミリとやや短く、結果、ネック軸回りの慣性モーメントも4760 g・㎠と小さいので、ダウンスウィングでの操作性が良く、インテンショナルにドローやフェードを打ち分けやすくなっている。そして、フェース面のスイートスポット(SS)位置はフェース中央よりもヒール寄り設計で、ダウンスウィングで球をヒール側に引きつけて打てるフェード系プレーヤーに向いている。

一般アベレージ向けモデルのようなストロングロフトではないので球は上がりやすく、かつバックスピン量も多いので弾道と飛距離が安定する。ストロングロフトアイアンと違って飛び過ぎがなく、ヘッドスピードの速いゴルファーにとってはむしろスコアメイクに役立ちそう。

画像: V字ソールのバウンス角は19.2度と非常に大きい。重心距離は35.4ミリとやや短い

V字ソールのバウンス角は19.2度と非常に大きい。重心距離は35.4ミリとやや短い

ダウンブローにスウィングすると、Vソールの主にフェース側を使うことになるが、フェース側のバウンス角は19.2度と非常に大きい。またヒール端が落ちているので、人工芝ではなく本当の芝の上で試打してソールの抜け感やターフの深さなどを確認してから購入したい。

ちなみに、ウェブサイトの写真を見ると、松山英樹プロはVソールではないプロトモデルを使用しているようだ。

これが「スリクソン ZフォージドⅡ」アイアンの計測データだ

フェースプログレッションは4.7ミリでストレートネック。球を拾いやすいストレートネックと33.2度のリアルロフト角で球が上がりやすい。ライ角は62.2度とアップライトだが、トウ側が低いのでつかまり過ぎるイメージはない。

また、ダンロップ特有のV字ソールで、主に使うフェース側のバウンス角は19.2度と非常に大きい。人工芝ではなく本当の芝の上から抜けを体感してほしい。

重心距離は35.4ミリとやや短い。フェース中央よりもヒール寄り重心で、球を引きつけて打てるフェード系プレーヤーに合うSS位置になっている。

画像: ネック軸回りの慣性モーメントも4760 g・㎠と小さいので、操作性が良く、ドロー、フェードが打ち分けやすい

ネック軸回りの慣性モーメントも4760 g・㎠と小さいので、操作性が良く、ドロー、フェードが打ち分けやすい

※週刊ゴルフダイジェスト2023年8月15日号「ヘッドデータは嘘つかない!」より

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