中島啓太、岩井千怜、笹生優花。日本人選手3人のスウィングからそれぞれ学ぶべきこと【今見るべき7人のスウィング・第2回】

中島啓太は、体にシャフトが巻き付くように近くを通るスウィング

国内男子勢で阿河が「見るべきスウィング」と挙げたのは中島啓太。

ショット力の死角のなさが、スウィングに表れているという。

「腕の畳みが早く、ずっと体にシャフトが"巻き付いて"います。クラブが体に近いからヘッドが走って、コントロールもしやすい。自分も含めコーチが"手元と体の間隔"にこだわるのはこれが理由なんです。それを中島選手のスウィングから学びとってほしいです。

マキロイ（※第1回で解説）はインパクトまでは手が体に近いですが、インパクト後はヘッドを遠くに放るように振り抜きます。そのほうが高弾道を作りやすい一方、中島選手はスピードで飛ばすので中弾道です。これは"持ち味"で、ラインを重視するならば、この"シャフトが巻き付く振り"がお手本です」（阿河プロ）

「多くの人はトップで胸を反らす動きをするが、中島選手にはそれが一切ない」と阿河。

胸がまるで一枚板のような“面”で回っているのは肩甲骨のポジションを見ても明らかだ。

岩井千怜は、小さなトップと円弧でミート率を上げる

国内女子からは、ツアーを席巻する"双子の妹"を挙げた阿河。

その理由は「精度に特化しているように見えて、実は飛距離も出る」から。

「特徴はインサイド気味にシャフトを立ててテークバックし、なおかつトップが小さいこと。要するに助走距離が短いスウィング。切り返し以降はリストコックをほどきながら右足に若干体重を残しつつインパクトへ向かいますが、これはトップの小ささゆえ体が早く戻りがちで、振り遅れ防止でしょう。

速度アップというより、フェース向きや軌道を安定させやすいスウィングですが、それでもこれだけ飛んでいるというのは、フィジカルの強さでしょう。岩井姉妹は小学生時代、陸上で県大会に出るほどの実力だったと聞きますが、それが生きているのでしょうね」（阿河プロ）

妹同様250ヤード超の飛距離を持つ姉の明愛は、手を長く使い、スウィングの“円弧の大きさ”で飛ばすタイプ。

トップの捻転量も大きく、しっかりと助走をとっています。

笹生優花は、“つかまる形”からインーアウトに腕を振る

阿河が「世界のトップクラス」と絶賛するのが笹生。

「テークバックで右へのシフトが大きなスケール感のあるスウィングですね。トップで胸の中心が右へ行き、インパクトにかけ戻りますが、戻し切ることなく中心軸より右にある状態でダウンスウィングしています。マキロイ的にインーアウトかつアッパー軌道で打ちたい意図が伝わります」（阿河プロ）

中島啓太、岩井千怜、笹生優花、3人のドライバーショット【最新連続写真】25

PHOTO/Tadashi Anezaki、HiroakiArihara、Hiroyuki Okazawa

THANKS/井山ゴルフ練習場

※週刊ゴルフダイジェスト2023年8月22・29日合併号「この夏見るのはこの７人! 背面&正面最新連続写真大特集」より