「顔」に兄弟モデルとの明確な違いがある
前回、紹介した『Bリミテッド B1LS』の兄弟モデル『B1ST』を紹介する。試打・計測用クラブ、および計測用ヘッドはロフト角10.5度、シャフトは純正『ベンタスBS6(S)』仕様。掲載数値はすべて実測値だ。
クラブ長さが45.13インチと長過ぎないが、クラブ重量は307.8gとやや重く、スウィングウェイトもD2.8と大きいので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが291万g・㎠と大きくなっている。この数値だとドライバーのヘッドスピードが45m/s くらいのゴルファーにとって、タイミング良く振れる設計といえるだろう。
ヘッドは同時発売の兄弟モデル『Bリミテッド B1LS』や『B2HT』と違い、全体に縦長で、形状的にはあまり球をつかまえすぎないイメージが出ている。アドレスでは米国モデルのようなオープンフェース(フェースアングルは1.0度オープン)が特徴で、兄弟モデルの『B1LS』や『B2HT』に比べてアドレスでのフラット感が大きく感じる。
見た目よりも操作性が高い
実際に試打したところ、アドレスではスクエア感は強く、『B1LS』や『B2HT』のようなヘッド後方が低いシャローバック形状ではないので、インパクト付近をレベルにスウィングしやすいイメージが出ている。
また、試打クラブのシャフトは適度なしっかり感があるので安定感があり、ヘッドスピードが43m/sくらいのゴルファーならこのシャフトで十分だろう。
ヘッドは横幅が狭めの縦長形状なので重心距離が長く見え、操作性が悪そうに思えるが実はそうではなく、インセットホーゼル(いわゆる出っ尻)設計のおかげで、重心距離は36.6ミリと非常に短くなっている。
結果として、ネック軸回りの慣性モーメントも6666g・㎠と小さくなり、ダウンスウィングでヘッドを操作しやすく、前モデルよりも球をつかまえやすくなっている。また、ソール面にウェイトビスが3個付いていて、そのウェイトを調整することでフィッティングしやすくなっているのも特徴だ。
『B1LS』よりもフェース面のスイートスポット(SS)高さが高く、35.2ミリと標準的なので、適度なスピンも入って弾道が安定しやすい。また3モデルの中ではインパクト音は高めで爽快感がある。
数人のゴルファーにも試打してもらったが、縦長形状ヘッドながらも球をつかまえやすく、概ねストレート系の中高弾道が打ちやすい感じだった。また、ネック軸回りの慣性モーメントが小さく、操作性の良いヘッドなので、前モデルよりもインテンショナルにドロー、フェードと弾道が操作しやすくなっていることも再度強調したい。
これが「B1ST」ドライバーの計測データだ!
重心深度が37.2ミリと浅い。左右方向のヘッド慣性モーメントが4583g・㎠とやや小さいので、大慣性モーメントを狙った設計でなく、またネック軸回りの慣性モーメントも6666g・㎠と小さく操作性が高い。
リアルロフトが10.4度で表示ロフト角の10.5度よりも0.1度だが立っており、最近のヘッドと比べると厳しいヘッドと言わざるを得ない。
また重心距離は36.6ミリと非常に短い。ネックがフェース中央に向かって入っているため、見た目とは異なり重心距離が短く、縦長ヘッドにしては操作性が良くなっている。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年9月5日号「ヘッドデータは嘘つかない!」より