多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏は「クラブ選びは重心選び」と表現する。最新のギアを計測・分析するなかで、注目データをピックアップし、読み解く。今回はタイトリストの「T200」アイアン。クラブ選びの参考にどうぞ!
画像: 【試打クラブスペック(7I)】●ロフト角/30.5度 ●ライ角/63度 ●価格(税込)/16万5000円(#5~PW・6本セット) ※すべてメーカー公表値

【試打クラブスペック(7I)】●ロフト角/30.5度 ●ライ角/63度 ●価格(税込)/16万5000円(#5~PW・6本セット) ※すべてメーカー公表値

米国モデルらしい逃げ感があるヘッド

タイトリストの『T200アイアン』を試打・計測していく。7番アイアンのヘッドとクラブ(シャフトは『NSプロ880AMC(フレックスS)』仕様)で、数値はすべて実測値だ。

クラブ長さが37.0インチと標準的だが、クラブ重量は418.0g(シャフト重量は100g前後)とやや重いので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが271万g・㎠と大きくなっている。この数値であれば、本来はドライバーのヘッドスピードが45m/sくらいのゴルファーにとって、タイミング良く振れる設計といえるだろう。

小ぶりでオーソドックスなプロモデル形状のヘッドで、前モデルよりもさらにストレートになったネック形状、そしてアドレスすると丸みのあるリーディングエッジで、米国モデルらしくフェース全体に逃げ感も出ている。兄弟モデルの『T350』と似た構造設計で中空ヘッドの雰囲気もあり、少しやさしいプロモデルというイメージだ。

少し飛距離を出したいロフトセッティング

実際に試打したところ、まずプロモデルらしくフェースの長さは短い小ぶりなヘッドだが、ストレートネック(フェースプログレッションは4.9ミリ) と逃げ感のあるフェースで、ラインに対してスクエアに構えやすくなっている。

そして、日本シャフト製の軽量『NSプロ 880AMC』は100g前後の番手別フローウェイト。やや軟らかめでスウィングしやすいと感じた。小ぶりなプロモデルながら、メーカー公称のロフト角は30.5度(リアルロフト角は30.0度)と前モデルよりも0.5度立てたややストロングロフトで、少し飛距離を出したいロフトセッティングといえる。

画像: バウンス角は0.0度と小さく、スイートスポット高さは19.9ミリと低い。ターフをほとんどとらない打ち方に適している

バウンス角は0.0度と小さく、スイートスポット高さは19.9ミリと低い。ターフをほとんどとらない打ち方に適している

フェース材は軟鉄よりも硬いので打感は硬めでインパクト音も少し高いが、球の弾き感は良く、全体に前モデルよりもインパクトフィーリングは改善されている。ヘッドは小ぶりなので重心距離は37.5ミリと長過ぎず、結果ネック軸回りの慣性モーメントも5552g・㎠と標準的で、操作性も良く、インテンショナルにドローやフェードが打ちやすい。62.8度と非常にアップライトなライ角で球はつかまえやすい。小ぶりなヘッドならでは、夏場のラフでもしっかりヘッドは抜けてくれそうだ。

ソールのバウンス角は0.0度となく、前モデル同様に普段フェアウェイでターフをほとんど取らないスイープなスウィングのゴルファーに向いている。スイートスポット(SS)高さが19.9ミリと低めなので、やや薄めのショットにも強いだろう。

アイアンに大きなヘッドが必要なく、格好いいプロモデルヘッドで弾く打感が好きなゴルファー向けのクラブといえる。

これが「T200」アイアンの試打データだ!

フェースプログレッションが4.9ミリのストレートネック。丸みのあるリーディングエッジは米国モデルらしく、ストレートネックとも相まってフェース全体に逃げ感がある。とはいえ、62.8度という超アップライトなライ角なので球をつかまえられるだろう。

また2021年モデルは0.5度だったバウンス角が、今回は0.0度とより小さくなり、ダウンブローではなく払い打ちするゴルファーにより合う形状になった。

スイートスポット(SS)高さは2021年モデルと同様の数値(19.9ミリ)だが、最近は高重心設計が増えているため相対的に低いモデルといえる。

画像: 重心距離やネック軸回り慣性モーメントの数値は標準的で、操作性がいい。インテンショナルにドロー、フェードが打ちやすい

重心距離やネック軸回り慣性モーメントの数値は標準的で、操作性がいい。インテンショナルにドロー、フェードが打ちやすい

※週刊ゴルフダイジェスト2023年9月12日号「ヘッドデータは嘘つかない!」より

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