ツアー大会の練習日のドライビングレンジでは、選手たちはそれぞれのテーマを持って練習しています。コーチと共にショットの調子を整えたり、トラックマンやGC4といった計測器を使って軌道や入射角、番手ごとのキャリーを確認したりといった様子が見られます。
特に会場となるパサージュ琴海アイランドGCは大村湾に面した海風の吹くコースなので、トラックマンを後ろに置いて風の中で実際にどれだけの距離を出せているのか、ボールがどれだけ風に流されているのか入念にチェックしています。
その中でスリクソンZXMkⅡ28度の6番UTを30度に寝かせ、7番UTとしてバッグに入れる青木瀬令奈選手に注目しました。「7番UTのキャリーは145ヤード。落下角度を確保できることで、ピンのあるエリアに止められることが、これを入れている最大の要因です」と青木選手。
7番アイアンを抜いてUTにしたことで、アイアンは8番からPW、52、58度と5本のセッティングになっています。ショットの精度とアプローチ、パターのショートゲームでスコアメイクする青木選手のプレースタイルでは、ピンポイントで狙える7番UTは大きな武器になっているようです。
特にアンジュレーションがあり、ピンのあるエリアに止めないとバーディチャンスにできない今大会の開催コースでは、ランの少ない弾道はスコアに結びつくはずです。
アイアンの本数が少ないので、林に曲がったボールを出すときはどうするのか聞いてみたくなりましたが、そもそもドライバーも曲がらないので、その点は心配無用なのでしょう。
練習ではティーアップしたボールをウェッジで打つ基礎練習を見せてくれました。ロフトのあるウェッジを高くティーアップして打つには正確なインパクトが必須条件。実際に打つ場面を見ていると、ボールだけをクリーンに打ち、残されたティーにまたボールを乗せて打つという職人芸を目の当たりにしました。
ある程度大きなスウィングで繰り返し同じ弾道を打つので、簡単に見えてしまうほど。「スウィングのテンポやバランス、前後左右に動きすぎたりするとインパクトがズレてしまうので、バランスを整える意味でも効果的な練習法です」とキャディを務める大西翔太コーチは教えてくれました。
春先に1勝を挙げたあとなかなか調子が上がって来ませんでしたが、ショットは好調のようです。「あとはパット次第」とパットの復調を待ちますが、それでも平均パット1位の座は譲っていません。これでパットが入りだしたら初の複数回優勝も見えてきそうです。今週の青木選手にも注目してみましょう。
写真/中村修
※2023年9月7日12時10分 文章を一部修正いたしました。