今年の7月初旬、あるアマチュア競技で熱中症によりゴルファーが死亡する痛ましい事故が起きたが、実はその折、キャディも過呼吸と熱中症で救急搬送されていた。キャディを熱中症から守るため、ファン付きウェアを早い段階から支給していたのが兵庫県の廣野ゴルフ倶楽部。導入の経緯を聞いた。
「昨年から実施しています。キャディ委員長からの要望により、メンテナンス作業員の着ているウェアのベスト版が欲しいと。そこで業者に頼み、当倶楽部にクラブに合ったシックなカラーでシンプルな形にしてもらいました。プレーヤーからも使用を打診されたことを受け、ドレスコードなど審査が始まっています。風の音がやや難点ですが…」(同倶楽部支配人・高塚勝久氏)。
今年からキャディへの支給を実施したのは、静岡県の川奈ホテルゴルフコース。昨年の夏、何人かのキャディが熱中症にかかり、そこから学んだ教訓によるもの。選択したメーカーは同コースのショップで商品を多数扱っているミズノ製のウェア。こちらはファン(扇風機)だけでなく、背中部分に保冷剤を入れるポケットが付いている。「熱中症対策のため導入しました。使用感をキャディに聞くと、汗をかいてもその汗が冷えてひんやりし、効果抜群だと言っています。さらに背中に保冷剤を入れると寒いくらいで、翌日の疲労度もだいぶ軽減されていると感じます、と。導入して成果があって良かったです」(同コース総支配人・村井宏通氏)。
ゴルファーから「自分たちも使用したい」との声に、背中に川奈ホテルゴルフコースのマークを配したバージョンをショップで発売している。付属のバッテリーは、“強”で約4時間、“弱”では約20時間使用できる。1日8時間使っても電気代は約1円で、室内で使えばエアコンの節約にもなるという点も、このウェアのメリット。川奈と同じプリンスホテル&リゾーツグループの武蔵丘ゴルフコース(埼玉県)でも導入されている。キャディ用熱中症対策ファン付きベストのブームは、残暑&来夏に向けて続きそうだ。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年9月5日号より