多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏は「クラブ選びは重心選び」と表現する。最新のギアを計測・分析するなかで、注目データをピックアップし、読み解く。今回はタイトリストの「T100」アイアン。クラブ選びの参考にどうぞ!
画像: 【試打クラブスペック(7I)】●ロフト角/34度 ●ライ角/63度 ●価格(税込)/16万5000円(#5~PW・6本セット) ※すべてメーカー公表値

【試打クラブスペック(7I)】●ロフト角/34度 ●ライ角/63度 ●価格(税込)/16万5000円(#5~PW・6本セット) ※すべてメーカー公表値

オーソドックスなヘッド形状の「T100」アイアン

タイトリストの3代目『Tシリーズ』。そのなかで、もっともツアープレーヤーに使用されている『T100アイアン』を紹介する。

アイアンは7番のヘッドとクラブ(シャフトは『NSプロ モーダス3 ツアー115(フレックスS)』仕様)を計測し、数値はすべて実測値になる。

クラブ長さが36.88インチと微妙に短めで、クラブ重量は429.8gと重く、スウィングウェイトもD2.7 とやや大きいので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが274万g・㎠と大きくなっている。この数値であれば、ドライバーのヘッドスピードが47m/s くらいのゴルファーにとって、タイミング良く振れる設計だろう。

タイトリストのツアーモデルなので、基本小ぶりで超ストレートネックのオーソドックスなヘッド形状。上から見て丸みのあるリーディングエッジとストレートなトップラインにより、米国モデルらしくフェース全体に逃げ感が出ている。

実際に試打したところ、まずツアーモデルらしくフェース長が短い小ぶりなヘッドでソール幅も狭めだが、フェースプログレッション(FP値)が5.3ミリと超ストレートネックの逃げ感のあるフェースでラインに対してスクエアに構えやすく、飛球線をイメージしやすい。試打クラブのシャフトはしっかりしているので、弾道が揃いやすく感じた。

画像: バウンス角は7.7度とツアーモデルらしく大きめ。重心距離は35.9ミリと短い。ヘッドの操作性が高く、ボールをコントロールしやすい

バウンス角は7.7度とツアーモデルらしく大きめ。重心距離は35.9ミリと短い。ヘッドの操作性が高く、ボールをコントロールしやすい

ボールが上がりやすく、球筋を操れる

ツアーモデルらしくリアルロフト角が34.2度と大きな設計なので、いわゆるアベレージモデルに比べて飛距離は出ない。しかし、球は上がりやすく、スピンも入ってピンをデッドに狙うことができる。おそらくPGAツアープレーヤーはこの7番で185ヤードくらいを狙うのだと思う。そして、ヘッド素材は軟鉄よりも硬いSUP-10 だが、フェース面の中央が肉厚になっていて、打音は抑えられ、打感も上級者の好みだろう。

基本的に、小ぶりヘッドで重心距離は35.9ミリと短く、結果ネック軸回りの慣性モーメントも5148g・㎠とやや小さめでヘッドの操作性が良く、インテンショナルにドローやフェードと弾道を操れる。また、米国モデルらしくライ角は62.6度と超アップライトで球はつかまえやすくなっている。小ぶりなヘッドということもあり、夏場のラフからの抜けもいい。ソール幅は狭めだが、バウンス角は7.7度としっかりつけられているので、ダウンブローにスウィングしたときのソールの抜けもいい。

ロフト角が大きいので、ドライバーの飛距離が280Y以上飛ぶようなパワーヒッターが、アイアンの弾道、飛距離をコントロールしながらピンを狙えるアイアンだろう。

これが「T100」アイアンの計測データだ

フェースプログレッションが5.3ミリの超ストレートネック。逃げ感のあるフェースでラインに対してスクエアに構えやすい。リアルロフト角は7番で34.2度と大きいので飛距離は出るほうではないが球は上がりやすい。

また、ツアーモデルらしく、7.7度という大きめのバウンス角なのでダウンブローで打てると気持ちのいいソールの抜け感を味わえる。

小ぶりヘッドで重心距離は35.9ミリと短く、結果としてネック軸回り慣性モーメントが5148g・cm2とやや小さいので、ヘッドの操作性が高く、球を操れる。

画像: ストレートネックが好きで、弾道の操作性を求めるゴルファーにおすすめのアイアンだ

ストレートネックが好きで、弾道の操作性を求めるゴルファーにおすすめのアイアンだ

※週刊ゴルフダイジェスト2023年10月3日号「ヘッドデータは嘘つかない!」より

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