フェアウェイバンカーはアマチュア最難関ショットのひとつ。ただし、ちょっとしたコツで成功率は上がると太田裕一プロ(ミニツアーで12勝)は言う。クリーンにヒットできるフェアウェイバンカー攻略法を教えてもらおう。
画像: ミスしやすいフェアウェイバンカーからのショットの成功率を上げる方法を太田プロが解説

ミスしやすいフェアウェイバンカーからのショットの成功率を上げる方法を太田プロが解説

強く打たなくて済む準備をしておく 

プロの場合、ライさえよければ、バンカーでもフェアウェイでも、スウィングや番手が変わることはありません。

ただ、アマチュアの場合は、やはり1番手上げるほうが、ロフトが立つ分、ボールの真横から当てやすくなるので、ミスの確率を減らせると思います。

ギリギリの番手だと、「きっちりヘッドを入れなければ」という気持ちが強くなって、普段以上に力んでしまったり、ボールを上げようと「すくい打ち」になりやすいです。 

画像: フェアウェイからのバンカーショットは通常(芝)よりもコンパクトなトップにして、8割のスピードでスウィングをすることがショット成功につながる

フェアウェイからのバンカーショットは通常(芝)よりもコンパクトなトップにして、8割のスピードでスウィングをすることがショット成功につながる

番手を上げているので、スウィングは普段の9割以下、できれば8割くらいの強さ(スピード)で、力まずスウィングしてください。

ただし、アマチュアはスピードをゆるめると、スウィング自体がゆるんで、体(軸)が左右に揺れてしまったりすることも多いので、トップを少しだけコンパクトにして、あとはフィニッシュまでしっかり振り切るイメージがいいでしょう。

フェアウェイバンカーではとくに、軸が少しでも右にずれると、すぐダフってしまうので、スウィング中はずっと左足のほうに多く体重をかける意識を持って振るといいでしょう。

また、番手を上げたことで、ボールの打ち出し角度は低くなります。その打ち出し角で、ちゃんと「あご」をクリアできるか、事前にチェックしてください。(太田プロ)

少しでも右に動くとダフリ確定 

フェアウェイバンカーで最悪のミスは「ダフること」です。

バンカー自体から出なかったり、出たとしてもグリーンまでの距離が残ってしまうので、確実に1打以上、損をしてしまうからです。

ダフリを避けるために、まずボールを、半個から1個分くらい右足寄りに置きます。

これで普通にスウィングすれば、確実に最下点の手前でボールに当たることになるので、ダフりにくくなるわけです。 

画像: ボール位置を右足寄りにして、グリップを短く握り、左足体重で構え、ハンドファースト(写真左)がダフリ回避にやるべきこと。重心が右にかかってしまうと(写真右)ボールを右に置いた効果が台無しになってしまう

ボール位置を右足寄りにして、グリップを短く握り、左足体重で構え、ハンドファースト(写真左)がダフリ回避にやるべきこと。重心が右にかかってしまうと(写真右)ボールを右に置いた効果が台無しになってしまう

それ以外に、ダフリ回避のためにやるべきことは、

①グリップを短く持ってコンパクトに振ること、

②6:4で左足に多く体重をかけたまま打つこと、

③ハンドファーストを保ってロフトを立てて当てること、の3つです。 

①は、グリップを短く持つと、クラブ自体が短くなって、砂に「届きにくくなる」ので、物理的にダフりにくくなる効果が期待できます。

②の「6:4で左足体重」というのは、もしダウンスウィングで重心が右にかかってしまうと、最下点が右に動いてしまい、せっかくボールを右に置いた効果が台無しになってしまうので、非常に重要です。

また、ボールを右に置く時点で、普段よりハンドファーストが強くなっているので、インパクトでその角度に戻すように意識すると、ボールの真横からフェースを当てやすくなります(③)。

ユーティリティはバンカーでもやさしい 

画像: ボールに当てやすいのはFWよりUTという太田プロ

ボールに当てやすいのはFWよりUTという太田プロ

グリーンまでの距離が遠くなるほど、バンカーショットの難易度は高まります。

たとえば、グリーンまで170ヤードくらい距離がある場合、どの番手で打つのが正解でしょうか。

ソール幅が広いので、「フェアウェイウッドが簡単」と言われることも多いですが、実際はそうとも言い切れません。

ほとんど同じ距離を打てるウッドとユーティリティ(以下、UT)を比べた場合、とくにアマチュアにとっては、UTのほうがやさしいと思います。

まず、UTはシャフトが短いので、クラブ自体がやさしいのと、ウッドよりロフトが立っていることが多いので、ボールに当てやすいというのが、その理由です。 

もちろん、「7番ウッドが一番得意」という人や、「普段UTは使わない」という人もいるので、一概には言えませんが、迷ったらUTを試してみることをお勧めします。

UTで打つ場合もアイアンと同じで、グリップを短く持ち、ボールを少しだけ右足寄りに置いて、8~9割のスピードで打つというポイントは変わりません。

違うのは、元々のボール位置がかなり左足寄りなので、少し中に入れたとしてもあまりハンドファーストにならないところです。

無理にロフトを立てずに、自然な振り抜きを意識してください。

UTのメリットとFWのメリット&デメリット

画像: 同じ距離を飛ばせるUTとFWがあると便利だという太田プロ。UTとFWのメリットを理解しよう

同じ距離を飛ばせるUTとFWがあると便利だという太田プロ。UTとFWのメリットを理解しよう

UTのメリット①クラブ自体が短め

ユーティリティはフェアウェイウッドとロングアイアンの中間の長さなので、比較的扱いやすく、アマチュアがバンカーからでもクリーンにボールをとらえやすい。

UTのメリット②ロフトが立っていてボールの横から当てやすい

ウェッジとドライバーを比べると、ロフトの立ったドライバーのほうが簡単にフェースに当たる。ユーティリティはフェアウェイウッドよりロフトが立っているものもあり、ヘッドを横から入れやすい。

UTのメリット③アイアンよりソール幅が広い

ユーティリティのソール幅は、ウッドよりは狭いものの、バンカーで決定的なミスを回避できるくらいには広く、アイアンに比べればかなりの安心感を持って打てる。

FWのメリット=ソール幅が広い

フェアウェイウッド最大の利点は、ソール幅が広く、仮にダフってもそこそこの結果になること。ただし、クラブ自体が「ダフりにくい」というわけではないことに注意が必要だ。

FWのデメリット=当てるのが難しい

フェアウェイから打ったときに、フェアウェイウッドとユーティリティ、どちらが成功率が高いかを比べると、ウッドのほうが成功率が低くなるのが普通。理由はシャフトが長いからだ。

FWのデメリット=ロフトが大きく、意外とトップしやすい

7番ウッドや9番ウッドになるとロフトがかなり寝ているので、ソールできないバンカーでは、視覚的に「トップしそう」という印象を受け、実際トップも多い。

打ち出すルートを真剣に選ぶこと 

画像: フェアウェイで次打が狙いやすいところにターゲットを定めつつ、多少距離がばらついてもトラブルにならない「ライン」を探す

フェアウェイで次打が狙いやすいところにターゲットを定めつつ、多少距離がばらついてもトラブルにならない「ライン」を探す

残念ながらライが悪かったり、あごが高かったりして、グリーンを狙うのが難しい場合は、次打が打ちやすい場所にレイアップすることになります。

とはいっても、アマチュアはコントロールショットを練習することが少なく、どのくらいの強さで打てばどのくらい飛ぶかという感覚が備わっていないことが多いので、あまりピンポイントに狙わずに、ある程度、誤差を見越した狙い方をするのがコツです。

たとえば、50 ヤード打てばフェアウェイのど真ん中、それより30ヤード飛んでしまっても、セミラフで前も開けているというラインで打っていけば、誤差が30ヤードあっても、次はきちんとグリーンを狙えるということになります。

一番やってはいけないのは、木が邪魔になったりして、真っすぐグリーンを狙えないところに運んでしまうこと。

こうした「NGゾーン」は事前にチェックして、確実に避ける狙い方をしてください。

フェアウェイバンカーでやるべきこと

①あごの高さのチェック

選んだ番手で前方のあごの高さをクリアできるかチェックする。

普段の練習から、番手ごとに打ち出し角度のイメージを目に焼き付けておくということも大事。

画像: レーキ跡の溝(目標方向に直角・写真右)にも注意しよう

レーキ跡の溝(目標方向に直角・写真右)にも注意しよう

②ライのチェック

一見、問題なさそうに見えても、たとえばレーキ跡の溝(目標方向に直角)にボールがある場合は、普通に打つとダフってしまう。

最下点が溝(の線)になるとダフリやすいので、最下点がボール(溝)の左側になるようにイメージしてボールをとらえることでショットの成功率が上がる。

ライの見極めはバンカーからのショット成功率を上げるカギになる。

③入射角の管理

バンカーは「打ち込む」とよく言われるが、ボールを右足寄りにした時点で、入射角が普段より強いダウンブローになり、あえて自分で打ち込む必要はなくなる。

TEXT/Daisei Sugawara 

PHOTO/Hiroaki Arihara 

THANKS/長太郎CC

※週刊ゴルフダイジェスト2023年9月12日号「フェアウェイバンカーの打ち方」より

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